今回紹介する本は、「奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業ーこの生きづらい世の中で『よく生きる』ために」(荻野弘之)です。
この本はローマ時代のストア派を代表する哲学者、エピクテトスの思想を分かりやすい形で伝えている本になります。
ストア派という言葉は馴染みにくい言葉かもしれません。
ストア派の基本戦略は「我々次第であるもの」と「我々次第でないもの」の境界を正確に見極めて、前者つまり自分の裁量の範囲にある物事にだけ、自分の欲望の対象を限定することにあるようです。
「ストイック」という言葉もストア派に由来するものです。
エピクテトス自身は解放奴隷出身であり、地位や財産や権力とは無縁なごく平凡な庶民がいかにして真の自由を享受し、幸福な生活にあずかることができるのか、そのためにいかなる知恵が必要なのかということについて深く思索しました。
そのような思想背景があるからこそ、現代に生きる我々にとってもエピクテトスの言葉は重みがあるものが多くなっています。
自分の裁量の範囲内にあるもののみをなんとかしようとする姿勢は、不必要なストレスを生まないためには必要なことなのかもしれません。
そんな思想を背景としたエピクテトスの言葉は、悩める我々の心を少し楽にしてくれるものかもしれないですね。