一人だったので遅い昼飯にインスタントラーメンを作り、いざ食べようとテレビのスイッチを入れるとセイリンシンなるものの生中継が流れていた。
"被告席"に座るのは我らが宰相のキシ駄さんである。
開始から30分経っていたが、与党議員のなれ合い質問が終わるところで、攻め手が野党に代わったのでそのままラーメンをすすりながら見ていたら、面白い場面があった。
最初の内の受け答えは予算委で追及されるたびに答えていたような誠意のかけらも無いようなものだったが、首相に就任してもなお続けている資金集めパーティーの自粛を求められた時だった。
最初の内こそ聞く耳持たずの態度だったが、追及されるにつれて、最後は茫然としたような表情で「はい、総理在任中のパーティーは致しません」と明言させられてしまった。
これにはドジョウ宰相とあだ名された質問者の元首相も「まさか、約束するとは…」と言いたげな驚いた風情で、その後の質問は軍門に下った相手に同情したかのような、いたわるようにも見えるやんわりしたもので締めくくったのだった。
見ている方もあっけにとられたと言っていい。少なくともボクは「馬鹿かこいつは」と思ったものだ。
ボクが追及を受ける立場だったら、テレビ中継されている場面で絶対に軍門に下ったりはしないだろう。
「人のふり見てわがふり直せ」という諺があるが、自らのふりについては人の意見は意見として聞くが、それを自分自身に反映させるかどうかは自分で決める。人に指図されてどうこうするものではない……とかなんとか答えて、のちにそうするかもしれなくとも、衆人環視の中では決して首ををタテに振らない。
我らがキシ駄さんが「はい、もうしません」と直立不動で口にした時の表情態度は、いたずらした悪ガキが先生に追及されて白旗を掲げるようなもので、こんな男が国のかじ取りをしているのかと、誠に情けなく、悲しい思いでいっぱいになった。
器じゃないのだ。
国宝・舎利殿とウメ=円覚寺
この一角は禅修行の"聖域"で、右手には雲水たちが修行する禅堂がある
直ぐ隣の佛日庵とハクモクレン
ツボミがだいぶ膨らんできている
ハクモクレンは中国の作家・魯迅から贈られた
佛日庵には円覚寺を開いた鎌倉幕府第8代執権・北条時宗が祀られている