平方録

小原古邨を見てきた

Ohara Koson who ?

NHKの「日曜美術館」によれば、伊藤若冲や丸山応挙に匹敵する人気を得るかもしれない明治生まれの画家だそうである。
「かもしれない」というのは、日本ではあまり知られていないため研究も進んでいないなど、人々の話題になることがほとんどないのだが、実力は申し分なく、多くの人が興味を持つようになれば若冲や応挙のように爆発的な人気を博すようになるだろうという意味らしい。
小原古邨。ボクだって知らなかった。

花鳥画を得意としていて、東京美術学校で教授をしていたフェノロサに勧められて西洋向けに作品を描いたところ大人気となった。
しかし、作品の供給が追い付かなくなったことから木版刷りの作品を作るようになり、茅ケ崎在住だった日本化薬の原安三郎がコレクションとして残していることも新たに分かり、今回の作品展に結びついたという。
日本では初めての大規模な作品展という触れ込みだった。

わが町の隣の隣、茅ケ崎市にある市立美術館が会場なので、下駄ばきで出かけられる距離と感覚である。
コレクションは240点あり、会期の前半と後半で総入れ替えされ、ボクが見たものは後期展示なので前半の120点を見損なってしまったことになる。
東京の美術館で開かれる展覧会と違って鑑賞に訪れる人の数がそもそも多くないのが地方の美術館で開かれる展覧会の利点の一つだろう。
お陰でゆっくりまじまじと鑑賞することが出来た。

帰りに焼鳥屋に寄って夕食代わりにするおまけまでつけたので、とても満足のゆく1日だった。
その焼き鳥屋は隣町の駅前の1等地にありながらビルの谷間で未だに小さな木造の店舗として存在し続け、昭和の雰囲気を醸している。
随分前から気にはなっていたのだが、ちょうどよい機会だと、のれんをくぐったわけである。

21歳でこの町にやって来て店を開き51年だという。
じゃぁ72歳かと聞くと「おぉ、算数が得意だねぇ、瞬時に答えが出る」などと与太を飛ばされたので、「鳥の絵ばかり見てきたので食いたくなった」と切り返すと「ソイツハオソレイリマシタ」と素直に感心していた。
肝心の焼き鳥の味は実によかった。
「まずいもの出してたんじゃ客は来てくれませんからね」「よそと同じものだしてんじゃ商売になんないですからね」
減らず口ってわけではないのだが、口の達者なオヤジである。

焼酎は流行りの芋など置いてなく、米のみ。それも3種類。
3種類しかないのだからと3種類ともロックでクイクイ飲んだら、今朝起きる時、頭がやや重かった。
という訳で、今日はこの程度でおしまい。



「雪の柳に烏」。カラスの身体は黒1色ではなく、角度によって1枚1枚の羽根が別の黒色で浮かび上がってくる


このカラスの羽根も


「月に雁」


「雨中の雉」


「秋海棠に交喙(いすか)」


「雨中の田鷸(たしぎ)」


「月に秋草」


「下弦月に狸」


「踊る狐」


「天糸瓜(へちま)に轡虫(くつわむし)」


「蓮に雀」。ハスの茎に雀が止まった重みで、葉の表面にたまっていた水滴がこぼれ落ちる瞬間が描かれている


「水辺の小鷺」。鷺の影が楕円の線のみで描かれているところがユニーク。どことなく緊張感が伝わってくる


茅ケ崎市立美術館。小原古邨展は11月4日まで。

コメント一覧

heihoroku
Re:こんばんは
こんばんは。
鳥を食べて踊り出したのは狐だけじゃなくて、ボクもです!
オハラコソン。案外モダンで、絵そのものに力があるというか、迫力十分でした。世の中、まだまだ知らないことばかりです。
これから先、未知との遭遇は何が待っているか楽しみです。
ひろ
こんばんは
https://blog.goo.ne.jp/hirotosaiseikai
小原古邨、初めてお聞きする名前です。
古い花鳥画よりは親しみやすいしオシャレでおかしみもあって
今の時代にもあっていそう。
カラスの絵が二枚とも好きです。
とくに有名でなくても集められた原安三郎さんのような方
がいらしてよかったです。

鳥の絵を見て鳥を食べる・・・キツネも踊りだしそうな・・・。
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