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平方録

南帰行

南の地域から日本に渡ってきていた鳥たちがそろそろ故郷に帰っていく時期になったようである。

鎌倉の稲村ケ崎はそういう"南帰行"の鳥たちの経由地の一つになっているそうで、例年この時期になると、双眼鏡を持ち、望遠レンズの付いたカメラとともに空を見上げている、いささか怪しげな人々の姿が目に付くようになる。

昨日、久しぶりに良く晴れたので自転車に乗ってパトロールに出ると、稲村ケ崎でそういう連中に出くわした。
そのうちの一人のロージンと話をしたら「先ほどハチクマ1羽の姿を見かけたが、今日はまだそれだけ」だと、所在なげである。
南の風がそこそこに強い日で、「北風なら風に乗れて好都合だが、こういう南風の日は風に逆らって飛ばなくてはいけないので渡りはぐっと減る」ということだった。
東日本に渡ってきた鳥たちは東北や北関東辺りから飛び立って稲村ケ崎を経て海に出、愛知県の伊良子岬を目指すのだという。
伊良子岬で小休止した後、海の彼方に向け飛び上がり、一気にそれぞれの目的地に帰っていく光景はなかなか壮観なもののようである。
この稲村ケ崎で渡りを観測しているグループの観測記録がネットに公開されている。
それによると9月16日の観測開始以降、10月2日までに220羽の渡りを確認したそうだ。内訳はサシバ170羽、ハチクマ42羽などなど。
ちなみに昨日2日は、話をしたロージンが見かけたハチクマ1羽だけだったらしい。
南に渡るのは鳥たちだけでなく、チョウも渡りをする。
アサギマダラだ。
フジバカマの花の咲くところで見かけるチョウだが、まだ直接実物を見たことがない。
写真で見る限り、なかなか特徴的できれいなチョウに見える。
サシバやハチクマなどいかにも飛翔力の強い鳥たちに比べると、かなり貧弱にしか見えないチョウまでもが渡りをするという事実だけでも驚きで、そもそもチョウが大海原を越えて長距離を飛ぶというのは神秘的でさえある。
ネットによれば目的地は南西諸島や台湾あたりだそう。
このアサギマダラも渡り鳥同様に稲村ケ崎を経由して海に出、まずは伊良子岬方面を目指すのだそうな。
ロージンによると「今日は見ていない」と言っていたから、やはり南風が強いので飛べないのかもしれなかった。
 
それにしても、鳥もチョウも、自力で大海原を渡っていく力を持っているという事実だけでも、なんだかすごく感動させられる♪。
 
 

10月2日5:19 久しぶりのきれいな夜明けに気分が上がる


パトロールに出る 秋の由比ガ浜


白い波が目立った

稲村ケ崎の東側
 
切通しを越えて西側に回ると富士山が見えた
 

その稲村ケ崎の一角にこういう怪しげな一団が(まるで民家をのぞき込んでいるような…)


やや不鮮明ながら…


裾まで見えているから立派なもの


江ノ島・湘南港灯台の防波堤に高々と波しぶきが上がる
(もっと豪快な波しぶきもあったが、写真には撮れなかった)


江ノ島に渡る弁天橋から
 

コメント一覧

heihoroku
アミさん おはようございます。

そもそも、アフリカで誕生した人類はユーラシア大陸を抜け、ベーリング海峡を越えてアメリカ大陸へと渡り、さらに南下を続けて南アメリカのホーン岬にまで至ったのですよ。
徒歩ですよ、徒歩!
何年もかけて…、まさしくグレートジャーニーですね。
ヒトもトリもチョウも、旅をするために生まれてくるのです。
アミ
小さな鳥が…、蝶々が…。
あの大海原をどうやって渡っていくのでしょうね~。
何も無理せずとも、日本で越冬したっていいのに…と、
極楽とんぼの私は思います。( ´艸`)
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