庭に出ても太陽さえ上っていれば光のぬくもりが心地よいようになってきて、暦の上の春を抜け出し、いよいよ本格的な春到来まで秒読みに入ったな、という感じである。
伸び放題にヤマボウシやハナミズキにもつるを伸ばしていたアケビを、脚立を持ち出して除去したが、さすがに高い枝先までは届かない。
若干取り除き損ねたが、いずれ枯れて落ちてくるだろう。
このアケビは近所の山道で芽生え始めたばかりのものを掘り起こしてきて植えたもので、もうかれこれ7、8年になると思うが、土地にもすっかりなじんだのか、大いに繁茂して、夏は緑のカーテンとなり、秋には甘い実を提供してくれている。
本当は木の枝先に絡まったつるだけでなく、絡ませているフェンス全体をすっきりさせたいのだが、なにせ、つるの伸び具合、絡まり具合は尋常ではなく、とても手のつけようがないというのが真相である。
根元から切っても再びつるを伸ばすだろうから、思い切って切り戻すのも手かもしれないが、絡みついたつるを外すのだけでも根気仕事になりかねない。
バラの手当てで唯一残っていたモッコウバラにようやく肥料を上げたが、ちょっと時期がずれてしまった。
5月の連休あたりから咲き始めるバラの主流たちと違って、モッコウバラは4月の割と早い時期から咲き始める。
肥料が効き始めるのは3ヶ月くらい後だから、花には間に合わないことになる。
間に合わなかった肥料は新たなつるの伸長のために使われることになるのだろう。
別にそれを望んでいるわけでもないし、狙ったわけでもない。
単に間が抜けていたというだけのことである。
たまにこういうことが起こるのである。
理由は耄碌? とんでもない。寒くて庭に出るのが嫌だっただけの話サ。北風がぴゅうぴゅう吹きすさぶところで作業するなんて、まっぴらなんでね。
接ぎ木で増やしたバラの苗数本も1年間の鉢での養生を経て、昨秋に庭に下ろしてやったのだが、まだ弱いだろうと思い、寒さよけの寒冷紗を巻きつけておいて良かったと思っている。
なにせ氷点下4・6度を記録するほどの寒さに見舞われたのだから、過保護だったとは言えまい。
寒冷紗を外すと既に芽吹きが始まっていて、まだ紫がかった赤茶色の葉を広げかけていて、これが太陽光線をしっかり浴びると濃い緑色のつやつやな葉に変わっていくはずである。
定植した秋に肥料をたっぷり与えているから、花をたくさん咲かせてくれるだろう。
寒さが緩んできたためか、雑草が目立つようになってきた。
雑草も小さなうちに摘み取っておくほうが楽である。
他の庭仕事を終えて2時間、地面にはいつくばるようにして黙々と作業した。
実は何を隠そう、地面にうずくまり、何も考えずに雑草と向き合って1本1本引き抜いて行く単純作業が好きである。
足腰さえしびれて来なければ、何時間やっても良いくらいなのだ。
真夏なら麦わら帽子をかぶり、その下にタオルか手拭いでほおかむりし、素肌にだぶだぶの長袖シャツを纏い、蚊取り線香をたいて庭の片隅にうずくまるのである。
頭の上からセミの声が降り注ぎ、背筋に汗が滲んできても地面を見つめたままじっとうずくまっているのである。
最後にシャワーを浴び、アブラゼミの鳴き声を聞きながらビールを飲むんである。夕方ならヒグラシ。これがまたいいのだ。
近所の畑の脇に植えられている2本のサクラの種類は不明だが、今が真っ盛り。
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