盛岡で暮らす友人から今年も三陸サンマが届いた。
毎年この時期になると送ってくれているのだが、今年のサンマは大不漁だと聞いているので宅配便が届いた時は正直言って「えっ?! 」と意外な気さえした。
友人はユーモアとダジャレの君で、今年は秋も深まったころに「サンマの群れが散漫になっちゃったどころか、三陸沖から消えちゃったねぇ、悪しからずぅ~」トカナントカ、送れなかったことを詫びる電話でもかけて来るんだろうと思っていたのだ。
こちらとしてはそれでいいと思っていたのだが…
大船渡漁港から届いた氷がぎっしり詰まったトロ箱を開けてさらに驚いた。
トロ箱には「特大型サンマ」と表示されていたが、口先から尻尾の先までの体長が35cmもあるサンマが15尾も出てきたのだ !
それで一瞬、大不漁ってのは大袈裟な報道だったのかと思いかけたが、実際しげしげとサンマを見ると、体調こそ35cmを超えてはいるが体形がスマートなのだ。
元来でっぷり太ったサンマなどにはお目にかかることはないのだが、それにしても細身のサンマたちなのである。
届いた日の夕食に早速いただいてみた。
三枚におろした身を油を引かずに熱したフライパンで皮の付いた側だけ5~10秒焼き、直ぐに氷水に浸して冷ましたものをひと口大に切って皿に並べ、その上から大葉、小ネギ、ミョウガなどをみじん切りにしたものと、すりおろしたショウガをたっぷり振りかけ、ポン酢の類を適当に振りかけて食べる。
この食べ方がボクは一番好きである。
刺身感覚で食べやすいし、焼いたサンマを2本も3本も食べる気にならないが、この食べ方だと一人で3本か4本は食べられてしまうくらいに美味しい ♪
今回ももちろん美味しかったが、正直言うと痩せているせいか、脂の乗りは今一つだったような気がする。
その証拠にフライパンに残る脂が少なめだったのは間違いない。
それともう一つ。
三枚におろす時に気付いたのだが、内臓がトロトロになってしまっていて、沿岸で獲れたものをすぐに水揚げして出荷したサンマではなく、はるか遠くの海域まで出かけて行って獲ってきたため、それだけ時間がかかっていることを示していたのだ。
これまでの三陸サンマと言えば、塩焼きにしたサンマは常にハラワタのところから箸をつけるくらいで、型崩れも無くきっちり締まったハラワタの苦さというものもサンマを味わう上での大いなる楽しみだったのだが、今回のようなハラワタでは止めておいた方がよさそうである。
2晩目の昨晩はつみれ汁にした。今晩当たり、いよいよ塩焼きが登場するはずだ。
今年の初物が別の意味でほろ苦いなんて、洒落にもならない。
ボクは今、友人にケチをつけているのではない。
あれほど身近だったサンマが、届くには届いたが、これまでの超新鮮サンマとは違ったやせっぽちの、苦みを味わうこともはばかられるような別物になりかけているという現実に直面して、それを嘆いているのだ。
去年も不漁だった。
それが今年はさらに拍車がかかっている。
その現実をまざまざと実感させられた衝撃は大きい。
友人にお礼の電話をかけたついでに「値段も上がったんだろ? 」と訊いたら、「うん」と言いつつ「店頭価格じゃないから大したことない」とは言うものの、「昔は猫またぎとまで言われたこともあるんだがなぁ…」とも付け加えた。
サンマのおいしさに目覚めた国が増えたようで、そういう国の漁船がサンマの群れが道東沖や三陸沖に近づく前にごっそり獲っていくからなのか、ともかくサンマ資源そのものが減ってきているとしたら由々しき問題で、政府にボォ~ッとされたんではたまらない。
アベなんちゃらに言いたい!
「憲法改正論議を始める前にサンマをちゃんと元通り食卓に戻しておくれ。ハラワタの食べられる脂のたっぷりのった、大根おろしが良く合うあのホロ苦いサンマを食卓に戻しておくれ」と。
痩せこけたサンマが高級魚として店頭に並ぶ秋なんて、そんなの日本の秋とはとても言えないじゃないか。
きのうの晩御飯はサンマのつみれ汁だった
けさ04:57の東の空 今日は今年最後の30度だろうと天気予報は言う