土曜日の正午少し前の湘南・片瀬漁港。
数羽のウ(ウミウだか、カワウなのか知らないけれど…)が漁港内のブイの上で濡れた羽根をのんびりと(でもないのかもしれないが、ニンゲンのボクにはそう見えた)干していた。
自転車で海辺を走ろうと来てみたけれど、富士山は雲に隠れて姿は見えないし、お日様は明るい光を降り注いでくれているけれど、さして強いとも感じなかったのだが、北東から吹いてきていた風が向かい風になるとやけに冷たさを感じさせてちっとも楽しくない。
で、漁港に寄ってから帰ろうと立ち寄ったところ、思わぬ光景を目撃することになった。
濡れた羽根を乾かすこいつらのしぐさはいつ見てもユーモラス
ぼろきれ干してる見たいって言ったら怒るだろうね
そんな光景を眺めていると遠くの海面が波立ち、何やら2羽が争っている…?
ぼろきれ干し中の2羽の奥の海面で別の2羽が尋常ではない様子…
ん !? お互い何か長いものの端と端をくわえ、互いに引張り合っているようだ
「グゲッ」「ゲゴッ」などという鳴き声と言うより唸り声、うめき声まで聞こえてきて、只ならぬ雰囲気
5~6分は争奪戦が続いたんだと思うが、ついに(中央奥の)こいつが勝利するところとなって、1羽はしぶしぶあきらめた
で、敗者の姿を追っているとブイの上でぼろきれ干し中の1羽にちょっかいを出し、ブイから追い出して自分がその上に上がった
つまり獲物を逃した腹いせに他人(羽)のブイを分捕ったってことなのだが、よっぽどムシャクシャしたんだろう
追い出された側はとんだとばっちりだ
ところでこの獲物は何なのか
ボクは最初アナゴかと思ったんだ
でもアナゴってのはせいぜい40~50cmだろ
ウの体長と比べると少し長すぎるような気がしないでもない…
大アナゴってのもいるだろうけどさ
アナゴじゃないとなるとタチウオ ? こんな港内にはいないだろうし、となるとウミヘビの類 ?
近くに漁師でもいれば聞けたのだが…
獲物の正体はともかく、この勝者、獲物をどうするのかと見ているのだが、なかなか飲み込まない いや、飲み込めない
くちばしを突き上げて何度も飲み込もうとするのだが、アユをひと呑みにするようなわけにはいかないようで手こずっている
第一、こんな長いものが腹に収まるのか ?
喉を通過中に断末魔の動きでもされたら窒息しちまうんじゃないか
そういう姿が見られるんなら見てみたいなぁと思って、しばらく立ち去りがたかったのさ
水にもぐったり、分捕り合戦になったりで濡れた羽根も気になり始めたと見えて、獲物をくわえたままぼろきれ干しを始めたけれど、一向にのどは通らない
こういう時って、ほかのウは我関せず知らん顔なんですな
所有権ってものがはっきり確立された社会なのかしらん、ウの社会って
係留中の漁船のレーダーアンテナに止まって一部始終を見ていたカラスの弁
「お前頭悪りいなぁ~、そんな長いもの呑み込めるわけないだろ。欲張ってないでサッサとあきらめろよ、オレ様が代わりに頭を使って食ってやるよ」
(iphoneで撮影)