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平方録

人のフリ見てわがフリ…

円覚寺には8時の開門数分前に着いた。

総門前の石段には既に20人ほどが列を作っていて、開門を待っている。
ボクもその一番尻尾につくが、待つ間はじっと立っていなくちゃいけないので寒いだろうなぁと思っていたが、それほどでもない。
門前の遮断機が閉まり、警報音がカンカン鳴る中を横須賀線の電車が北鎌倉駅を発車して行く。
その度に門前の行列が伸びていく。

1年で一番寒い時期の坐禅だから参加者は減り気味ではあるが、行列を作っている人には覚悟があると見えて寒さに縮こまっているような人は見当たらない。
ところが、大方丈の坐禅会場に入ると、ダウンコートやジャケットを脱ごうともせず、首にマフラーを蒔いたままの姿で坐る若者が目立つ。
しかも、靴下も履いたままだ。
数年前までは、「修行の一環ですからね、靴下は脱いでください。室内に入ったらコートの類は脱ぐのが常識でしょ」と直日(その日の坐禅を仕切る人)の坊さんからごく当然の注意があったのだが、今はそれも無い。

ま、他人のことは関係ないから放っておけばいいのだが、作法とかしきたり、礼儀の類があるなら、それを理解してもらうというのも主催者の努めだろうと思うのはジジイになった証拠だろうか。
もう少し若かった数年前の盛夏、短パンで坐禅会に参加したところ名指しこそされなかったが、直日を担当した当時の教学部長の和尚から「寺はリゾート地とは違います。それなりの服装で」と指摘され、深く恥じ入ったことがあった。
今でも夏になると短パン姿をよく見かけるが、だれも注意するものはいない。

横田南嶺管長は自ら気が付くまで待つという姿勢のようだが、これはこれで大変な指導者だと思う。
なかなか真似のできないことであり、なかなかすんなりとは理解しがたいところもあるが、ボク自身、黙って成り行きを見させてもらっている。
というか、ボクもその掌の中に乗せてもらっている分際である事を自覚しなくちゃいけないなぁと、しみじみ思いつつ、わが身を振り返えざるを得ないのである。
いろいろ勉強させられる。

話は変わって、昨日、わが南関東の最低気温は2℃と今冬一番の冷え込みとなり、大方丈の中とはいえ、外気と大して変わらぬ寒さの中でじっと坐り続けることに耐えられるか危惧しながら出かけたのだが、管長の話を聞きながら坐った1時間ほどの間はトイレに立つ差し迫った事態には至らず、歯の根が合わなかったり。あまりの寒さに胴震いしたりするようなことも無く、ヤレヤレではあった。
カイロの効果もさることながら極暖下着を2枚重ねたのがとても暖かかった。
始めてやってみたのだが、あれはイイ。効果あるなぁと思った。第一着ぶくれないのがまたイイ。

かくして、今回の結果次第では春まで冬眠しちゃおうかとも思ったのだが、〝ナントカの冷や水〟と言われようが、その必要もなさそうでホッとしている。
第一、最初から最後まで暖房無しの奇数日曜日の坐禅会は2月の2日と16日のみ。
それこそ寒さの底に当たる時期だけれど何とかなりそうじゃない。




円覚寺塔頭雲頂庵からみた富士山(見出し写真も)


珍しく丹沢の峰々も白くなった


丹沢の雪はすぐ溶ける


円覚寺塔頭の仏日庵のハクモクレンの蕾が膨らんできている

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