今ちょうど午前5時。
3時間後の午前8時から北鎌倉の円覚寺で坐禅会があり、横田南嶺管長の提唱があるのでそれを聞きながら坐禅をしてくる。
円覚寺では様々な形態の坐禅会が開かれ、在家のわれわれにも門戸が開かれているが、奇数日曜日に開かれる管長の提唱を聞きながらの坐禅会がボクにとっては最も集中でき、気合が入る。
今朝の坐禅会がまさにそれで、今年最初の機会となる。
この坐禅会はまず参加者が所定の位置に坐り呼吸が整うと、大太鼓が遠慮のない大きな音を響かせて鳴り響き、準備が整ったことを告げ、管長のお出ましを乞う。
太鼓の最初の鳴り出しはドドォ~ン ‼ と不意を突くようにいきなり始まるので、ボォ~ッと坐っていると不意を突かれてドキッとさせられ、呼吸を乱される。
丹田に力を込めて待ち構えていればどおってことはないのだが、初心者の人はたいていビックリしてモゾモゾ動くのですぐわかる。
この坐禅会でボクが気を引き締めるのは寒さが尋常ではないこと。
暖房のない大方丈の大空間の空気は障子こそ締め切ってあるが、坐禅が始まる前まではご本尊正面の障子だけは開け放たれているので、外の空気と何ら変わることがなく、キリキリと冷え切っている。
おまけに玄関から上がって廊下をたどると磨き抜かれた廊下の板はまるで氷のように冷えていて、素足の足裏は痛いくらい。
寒中の坐禅会は特に寒く、ボクはここで胴震いという、身体が寒さで勝手にブルブル震えてくる現象に初めて出会った、
それだけにとどまらず、奥歯が勝手に小刻みな振動を始め、ガチガチと音が出るくらいに鳴り始めたこともある。
歯の根が合わなくなるくらい寒い――という表現が確かに存在するんだということを認識したのもここでだった。
あの時は、ガチガチ鳴り始めた音が、周囲に漏れ聞こえていたんじゃないかと冷や冷やしたものだ。
とにかく寒い。
胴震いや歯の根が合わないことは、まぁ何とかなるが、困るのはトイレが一層近くなること。
年を取るとそれが顕著で、最近のボクの弱点の一つになっている。
あまり寒いと1時間持たないこともあるから注意が肝心で、万一を考え、そっと席を外せるような位置に坐るよう心掛けてもいるのだ。
そんなわけだからジジイの出る幕じゃないような気がして、いっそのこと、厳寒期だけ欠席し、同じ時間に自宅で坐ればいいかと思わないでもないが、そこはそれ、やっぱり雰囲気からして雲泥の差があるので踏み切れないでいる。
今日はその辺りの見極めもしようと思っているところなのだ。
とりあえず、衣服に貼るカイロをべたべた張り付けた。
在家の身とはいえ、坐禅というのは修行の一環だから、カイロを身に付けること自体、堕落で姑息なんだろうと思うが、背に腹は代えられないってところなのだ。…
昨日は日中、雪が舞った。
今朝の気温は2℃。
暖冬傾向も一時休止のようだ。
三方を山に囲まれた円覚寺に陽の光が射すのは、この時期午前9時過ぎになる。
鎌倉の中でも1~2度は確実に低いのが北鎌倉で、境内はそれをさらに下回るんじゃないか。
う~、寒そう…
見出し写真を含め、近所の池のある公園の寒々した光景から