愚図つき気味の天気予報が続く中で、昨日はどういう風の吹き回しか、日中は太陽が顔をのぞかせ、汗ばむ陽気に恵まれた。
観光客でごった返す鎌倉駅を発車した江ノ電が揺れるたびに仲間の顔は子供のように輝きを増し、窓の外をキョロキョロキョロキョロ…
「おにぎりなど、昼食を忘れないでくださいね」という知らせを忠実に守った一行は「小学生のころに遠足に来て以来♪」とか、「わぁ~、海を見るの久しぶりぃ♪ やっぱりいいなぁ~♪」などとハシャギ気味で稲村ケ崎に向かったのでありました。
念のために申し添えますと、ハシャギ気味の連中は60代のひとりを除いて古希を過ぎた元気印の男女でありました。
この日は月に一度のわが俳句結社「二合会」の例会で、その前に吟行で一ひねり、という趣向なのであります。
その吟行場所に選んだのが鎌倉時代の旧跡・稲村ケ崎。
ついでにそこで昼食も済ませようということで、遠足気分のお弁当持参と言うことになった。
ボクにとっては年がら年中パトロールしている場所で、目をつぶってでも歩ける場所だが、吟行となるとまた別である。
ただし、空の広い所で弁当を広げると上空を旋回するトンビの急降下攻撃にさらされて、握り飯などは瞬きする間もあらばこそ「アッ!」と言う間に持っていかれかねない。
トンビに油揚げさらわれた…じゃないけれど、ボクが持参した握り飯にはその油揚げが添えられたものが含まれていて、絶好の餌食にされかねない。
ところが幸いなことに一番高いところにある東屋が空いていて、そこで屋根に守られて景色を堪能しながら皆ニコニコと安心して弁当を広げて頬張ることができたので、いやがうえにも遠足気分が盛り上がったのでございます♪
そういう実に好ましい非日常に身を置いての句作りだったからでございましょう、この吟行から生まれた句がその後の合評で天地人の最高位である「天」を獲得することになったのでございます。
海を見てただ空を見て春の午後 幸子
それがこの作品で、参加者8人中、作者を除く7人中5人が1票を投じた文句なしの「天」位。もちろんボクも1票。
古都の一角から広々とした海に突き出した小さな岬のベンチに腰掛け、ただただ目の前に広がる大きな大きな景色に見惚れて静かに溶け込んで行っている…そんな作者の感動がひしひしと伝わって来たのでありました♪
体調を崩してコロナの流行期間中ずっと休会していた仲間が、この句会から復帰したのも朗報だった。
もう一人、コロナ禍で行動の自由が制限されているうちに体調を崩してしまった仲間がいるが、80歳を超えているので復帰が遅れているのがちょっと心配である。
コロ公めっ!
岬の突端ではウミウが羽を休め、濡れた体を乾かしている
出掛けに撮ったわが家の庭の一角 あっという間に色々咲き出している