江戸時代の俳人、加賀千代女の残した名句である。
幼い子供を失った母親の悲しみ、寂しさをしみじみと詠んだ句で、教科書に載っているから、多くの人が知っていることだろう。
現在のわが心情はまさに千代女の心境なのだ。
とても悲しく、寂しいんである。
庭のカツラの木に架けた手作りの巣箱にシジュウカラのつがいが住みかけたのに…
朝方まで続いた強い雨も止んで青空が広がり、風は相変わらず強く、カツラの葉が裏返るほどだったが、昨日一日中シジュウカラは戻ってこなかった。
シジュウカラ今日はどこまでいったやら
巣箱は空っぽのままなのだ。
これがホントの“始終空”!? いや、冗談を言っている場合ではない。
○○ロスというけれど、わが心にぽっかり空いた穴はしばらく埋まりそうにないのだ。
かくして傷心の吾輩は何をする気にもなれず、強風に枝を煽られるバラを気にしつつ、「流鏑馬」の葉っぱをかじっていたエダシャク1匹と「ニュードーン」の蕾にとりついていたアブラムシ十数匹を荷造りテープにくっつけて退治しただけで、家に入ってしまい、ぼんやりテレビを見て過ごしたんである。
午後になって妻に誘われて散歩に出たが、海に行って砕ける波でも見ようと海岸に向かったが、海に近づけば近づくほど風は強まり、目も開けていられないほどで、波見物どころではない。
ったく、最近の天候は加減というものをわきまえないんだろうか。
いくら強く吹きたくたって、人を海岸から遠ざけてしまうほどビュービュー吹くこともないじゃないか、と八つ当たりしたくもなる。
この強風のせいで、湘南海岸沿いのサイクリング道路は完全に砂で埋まってしまったに違いない。
連休中はもう走れないだろう。
あとは役人次第だが、役人だって休んじゃってるだろうからな。しばらく駄目に決まっている。
風公め! つまらないことをするものである。
心にぽっかり穴をあけたまま日が暮れて、せめてもの慰めにと、姪っ子が送ってくれた赤ワインを飲むことにした。
36歳まで独身でいた長野のスキー場生まれの姪っ子は北海道に渡り、ようやく遅い結婚をしたのでお祝いをあげたのである。
ワインはそのお返しで、そのチョイスはさすが東京の青山のスカンジナビア料理の店でソムリエをしていただけのことはある。
レ・ディフェーゼというイタリア・トスカーナ地方の銘柄のテヌータ・サン・グイドという赤ワイン。
タンニンの効いた辛口のワインで、我が夫婦にピッタリの味。
買ってきた山形牛のバター焼きと春キャベツを丸ごと煮たスープに良く合って、あっと言う間に瓶は空っぽ。
これでいくらか気分は晴れたんだが、思い出すといけない。
いつまでくよくよしても始まらぬ。元気を出すとするか…
今日5日は子供の日にして立夏だそうで、待ち望んだ夏がやってくるのだ。
朝方までの強い風雨が行楽の出足を阻んだのだろう、午前中の134号は流れていた。強風の割には遠くが霞んで見えるのは巻き上げられた波しぶきのせいだろうか
わが家近くの池の周囲は輝く新緑に包まれていて、その美しさは花の盛りに勝るとも劣らない
トスカーナの赤ワイン
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