平方録

ぬか喜びってやつかぁ~

え~っ、何だよ、どうしちゃったんだよぉ~、という気分である。
がっかりしているんである。

こういうことなんですヨォ。
庭に出て草取りの後、水やりをしていたら庭のどこからかコツコツ、コツコツという比較的大きな連続音が聞こえてきた。
はて、何の音か? どこから聞こえてきているのか? 
わが家の庭から聞こえてきていることは間違いないようだが、それ以上位置を絞りこむことができない。
100年くらい前の、まだ開発途上のレーダーのようなもので、極めて精度は低いんである。

私は19歳の時に左耳の聴力を失っているから、右の耳しか聞こえない。
電車に乗ると、左側に座った人の話し声は電車の騒音にかき消されて、ほとんど聞き取れず、それはそれは不自由をかこってきたのだ。
だから、左肩と左のあごで受話器を挟み、右手でペンを走らせるなどと言うカッコイイ新聞記者さんのような芸当はやりたくても出来なかったんである。
したがって、仮に音が聞こえてきても、それがどちらの方角から聞こえてきているものか、見当がつかないのだ。

両方の耳の距離は高々20センチ程度である。
わずかしか離れていないのだが、これが方向探知と位置の特定にとても役立つという事を、来し方しみじみ味わってきたんである。
健常者にはおそらく分からない感覚だろうね。そういう意味では身体障害者に列せられるべきなのだ。エッ、無理? 

はなしは大いに脱線してしまった。
最初、コツコツという音は庭の水栓から聞こえているのかと思った。
それにしては大きいし、一旦止んだと思ったら再び鳴り始めたりしているのである。
首を傾げつつ水やりを続けていたところ、ふと視界の片隅を小鳥が横切ったのだ。
ははぁ、そういうことか。とたんに合点が行った。
巣箱を物色に来ている鳥がいたんである。たぶん、先住者がいないかどうか、音を立てて確かめていたんだと思う。

4月の初旬のことだが、1階のガラス戸をホバリングするシジュウカラの姿を見かけて以来、これは何かのサインかと思い、思い立って巣箱を手作りし、庭の真ん中にあるカツラの木に架けておいたんである。
それから3週間になろうとしていた先月30日、コツコツ音を耳にしたわけである。
どうやら気に入ってくれたようである。

姿を現してびっくりさせないように、物陰に隠れて様子をうかがったところ、確かにシジュウカラのつがいが巣箱に出たり入ったりを繰り替えしているではないか。
キンキジャクヤクとはこのことで、してやったり! 幸福な気分にさせられたんである。
翌朝もつがいは出たり入ったり、どこかに出かけていてもすぐに戻ってきて巣箱の中に入るとまたすぐに飛んでいくことを繰り返している。
巣作りでもしているんだろうか。ヒナ誕生も間近か。期待は膨らんでいったんである。

そうして昨日の憲法記念日。
朝、食卓から見ていたのだが、気配がない。どうしたのかと思っていると、鳥の姿が見えたので近づいて見ると、これが何とスズメである。
それで巣箱の中に入ろうとするが、入り口の穴が小さいので入れないのだ。
さっさとあきらめてどこかに飛んで行ってくれればいいものを、巣箱の屋根や近くの枝に止まって様子をうかがっているようである。
余程気に入ったのか、諦めきれないのか、なかなか離れようとしないのだ。何度も中に入ろうとしている。

これではシジュウカラ夫妻は落ち着いて暮らすどころではあるまい。
そもそも、巣箱の中にいたんだとしたら、果たして無事なんだろうかという疑問も湧く。
チュン公め! 余計な真似しやがって!
せっかくシジュウカラ夫妻が気に入ってくれたものを、これじゃぁぶち壊しである。

午前中の出来事だったが、午後になってもシジュウカラの姿は見かけない。がっかりだ。戻ってきておくれよぉ~。




入り口に止まったシジュウカラ


いざ中へ


さてお出かけ


巣箱前の枝で辺りを警戒


今度は巣箱の真上から警戒


スズメが中に入ろうとするが、入り口の穴が小さくて入れない


もう近づかないでくれ!
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