普段よりずいぶんと厚着をし、昼飯用におにぎりまで握ってもらい、腰回りにカイロを貼り付け、すっかり出かける準備を整えて、最後にバラせん定用の厚手の皮手袋を取りに庭の物置に取りに出てたところ、想像以上の外気温の低さと、おまけに北風が吹きすさんでいて、すっかり怖気づいてしまったのだ。瞬時に「だめだこりゃ」と日和見を決めたのである。
天気予報を見てみたら、横浜の最高気温は10度だという。風が吹き続ければ体感温度はもっと低いだろう。
われながら情けないとは思ったが、この寒風吹きすさぶ中に5、6時間も立ち続けながら、しかも脚立の上でのせん定作業など、どだい無理だと思ったのである。
現役時代なら、とてもこんな風には思わないだろうナと思いつつの決断である。
何がそうさせたのか。
すぐに思い当たるのは、現役を引退した身であるということ。
つまり、形式的にではあるが、隠居のじじいであるという現実。隠居のじじいというのは一方で責任感というものが薄れるのである。
だってそうでしょ。後進に道を譲るということは、それまでの期待やら責任からも身を引くということなのだから。これを別の表現をすると「無責任」ということになるのだが、責任から離れた身なのだから致し方ないのである。
お手伝いというものは気持ちよくやらねばならない。お手伝いは義務ではない。ましてや苦行とは違うのである。
もう一つは体力的な問題。
若干、身体をいたわる気持ちが頭をもたげたのである。
現役時代に比べるとガタが来ていることは事実なのだ。
長時間、寒風に身をさらすような無理を、あえてすることはないのである。
とはいえ、せっかくせん定の支度を整え、握り飯まで用意してもらったので、わが家の庭のバラのせん定に取り掛かった。
鼻水が垂れてきたら途中だろうがさっさと中止にすればよい。気が楽なのだ。
最初に取り組んだのが南北方向の道路に面した敷地西側のフェンスのローゼンドルフシュパリースホープ。
残っていた葉をすべて取り除き、枝を切り詰めたりした上で改めてフェンスに結束し直していったのだが、何せ道路を北から南に風がよく通るのである。
1時間程度だったと思うのだが、やんぬるかな、体の芯まで冷え切ってしまった。
家屋が北風を防ぐ格好になる南側の特製フェンスはさすがにそういう心配はなく、時たま日が差すとポカポカと暖かく作業もはかどったのである。
論より証拠。作業効率から言っても、楽しさから言っても、寒さはペケなのである。
バラのせん定は冬場の仕事だから、寒さはつきものである。とはいえ、南関東の冬には比較的穏やかで暖かい日もあるのだ。
幸いに来週の予想最高気温は15、6度なんて日が続くらしい。そういう条件の日にはいそいそと出かけて行って手伝ってくればいいのである。
したがって、予想最高気温が9度の今日も日和見を決め込むのである。でもソーカツはされないだろう。
南に面したせん定作業中のニュードーン
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