あっという間に過ぎ去るだろうと踏んでいた2月は予想通り、瞬きをしている間に通り過ぎた。
そして、今日から弥生と聞けばゆらゆらと霞んだおぼろな空気を思い浮かべ、浜辺に届く波は白いものは見せず、俳人に言わせればのたりのたりと漂うかのようにゆっくりと静かに上下動を繰り返すイメージである。
ウメの花は散り始め、初音はいつかとそばだてていた耳に今や澄み切った「ホォ~ホケキョ」の鳴き声が響くようになっている。
気象庁の開花予想に従えばソメイヨシノの開花は早く、東京は17日ごろだという。
彼岸の入りに合わせて咲き出すとは…
しかし、正岡子規の俳句にあるように子規のお母さんの口癖は「毎年よ 彼岸の入りに 寒いのは」だったそうだから、暖かさと寒さのせめぎあいはこのころまで続くはずである。
寒いの大っ嫌いニンゲンにしてみると、それでもゴールは見えているのだからニヤニヤしていれば済む。
鷹揚でいられるうれしさよ。
それにしても富士山がおかしくないか?
ここ数日、散歩もままならないような強風が吹きすさんでいたので出歩くのもはばかられ、富士山を眺めるどころではなかったが、昨日、薄っすらと霞がかかったような空気越しに姿を見せた富士山を見て「あぁ、やっぱり!」と思った。
昨年の師走から続いている現象だが、雪が積もっても南斜面の雪の解け具合が異常とも思える速さで、今また溶けて地肌が見え始めている。
年末には山全体の雪が消えかけ、まるで夏山のような姿になってしまった。
幸い年末の30日に低気圧が通り、元旦は雪化粧したいつも通りの秀麗な姿を見せてくれたが、その後は南斜面を中心にハゲが目立ち、どうにも美しくない富士山を見せつけられてきている。
何日か前に太平洋岸を進んだ低気圧が今冬何度目かの‶ハゲ跡修復〟をして行ったのもつかの間、またぞろ、南斜面にハゲが見え始めているという状況なのだ。
いくら太陽が当たる南の斜面だからと言って、3000mを超す山の上半分の気温は地上のそれとは大違いで、極寒の気温のはず。
太陽光だけで地肌が見えるほど雪が溶けてしまうというのがどうにも解せない。
富士山はれっきとした火山だからね。
1707年の宝永大噴火以来沈黙しているけれど…
部分的に地熱が高くなるってことはあるんだろうか…
江ノ島の南側の岩棚から見た富士山(見出し写真も)
明るくおぼろ気な空気とは裏腹に、岩場を吹き抜ける風は冷たかった
富士山の左側に当たるのが南斜面で、雪が解けて地肌がのぞいている部分が見える
江ノ島も見える稲村ケ崎から
正面に見えているのが朝日の当たる東斜面 ハゲているところは見えない
弥生を前に、わが家の大谷石の擁壁と道路のアスファルトの間から生えているど根性ユキヤナギに今年も花が咲いた まだ1輪だけど…