足を痛めている間、自転車にも乗れず行動の自由を奪われていたが、先日、お試しライドをした時に立ち寄った浜辺でお目当てだった花がちょうど開花を迎えていた♪
青紫色の小花を穂状にたくさん咲かせる花の名を「ハマゴウ」という。
海辺に生育する海浜植物で、葉が線香の原料に使われたことから「浜香」の名が生まれ、これが転化して「ハマゴウ」になったそうな。
花が終わると結実する果実や茎葉は漢方薬の原料として重宝されている。
相模湾一帯で…といっても全部を知り尽くしているわけではないが、三浦半島から相模川河口にかけての沿岸でこのハマゴウがまとまって咲いているのを見られるのは、ボクの知る限り湘南海岸自転車道のスタート地点の砂山が唯一だと思う。
ところが、去年、ハマゴウが群生している砂山の除砂作業が行われ、半分の高さまで削られてしまった。
これには唖然として、ガッカリさせられたものだったが、長く張り巡らされた根の一部が残っていれば復活が期待できるし、こぼれダネからの芽吹きにも淡い希望を持っていた。
そして春が巡りきて、且つての群落地を眺めた眼に、わずかだったが銀色が混じった緑の葉が一部で芽生え始めているのを目撃して胸をなでおろしたのだった。
ボクが動けないでいる間も成長を続けたらしく、生育面積は見違えるほど広がっていて、花穂が立ち上がり青紫色の花が咲き始めていた…という訳である
生育環境の厳しい場所に生息している植物の生命力に驚かされるとともに、心底感心させられた♪
青紫色がさわやか
生命力が随分と旺盛で、春先は申し訳程度にしか生えていなかったが、今はごらんの通りの勢いで面積を広げている
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午後1時ちょっと過ぎに入った蕎麦屋のテレビでそのニュースを知った時は少なからず驚いた。
マイクを向けられた市民や識者の誰もが「暴力はいけない」「暴力による言論の封殺なんてもってのほか」と口をそろえる。
これは民主主義社会が自由な言論の保証なしに成り立たず、民主主義の根幹をなすものだけに至極当然の意見表明だと思う。まったく異存はないし、ボクも同じ意見で、完全に同意する。
イヤなことが起きたものだな…と思う。
そしてフと思う。
アベ氏が首相在任中の事を。
確かあの時、法制局長官を自身の意見と同じ考えを持つ人物に交代させ、歴代の長官経験者をして首を傾げさせる「戦争法案」を国会に提出し、法制局のお墨付きを得たとして強行採決までして憲法が禁じる集団的自衛権行使の道を強引に開いてしまった。
この強行採決の1年か2年前の「秘密保護法」(特定秘密の保護に関する法律)の時もそうだった。
この法律の特にテロに関する部分は戦前猛威を振るった「治安維持法」の再来ではないかと言われるくらいの危険性をはらんでいるとして、市民の間からも反対の声が上がっていたが、これも議席の数を頼りに突如強行採決して強引に国会を通過させてしまった。
国会が何のためにあるのかを疑わせるような問答無用というべき事態と言えた。
その後もいくつかあるが、印象に残っているのは臨時国会の召集を求める野党に対し、憲法の規定を無視し続けて招集せず、何十日も経ってようやく招集に応じたかと思えば、あっと驚くタメゴローの冒頭解散をしてしまい、議論を戦わせる機会を平然と奪って見せた。
まさに数を頼んだ言論封殺とも呼ぶべき数々は、モリカケ問題やら桜を見る会などの疑惑につながっていく。
首相の座を投げ出した今でも「防衛費をGDP比2%まで拡大せよ」「敵基地攻撃能力の保持」などと政府の頭越しに大声で発信し続けていたのは、後事を託したはずの首相経験者として如何なものだったのか。
そういう人物が民主主義社会にあって最も忌避されるべき銃弾を浴びて倒れた皮肉を思わないわけにはいかない。
ボクは「アベなんちゃら」という揶揄を含んだ呼称を使って首相時代以降、ことあるたびに批判的な文章を書いて来たが、亡くなってしまってはそれもノーサイドだ。
冥福をお祈りするとともに、この事件をきっかけに、これ以上嫌な世の中に戻らないよう、注意深く世の中を見渡していきたいと思う。