暖かくて艶めかしくもある空気に包まれ始めて「おぉ、この空気を待っていたのだ! 」と、その瞬間からすっかり警戒心が失せてしまったようで、「さぁまたきっちり寒いですよ。そのつもりでね」と言われたってハイそうですかと右から左に態勢を整えられるわけでもない。
人サマはともかく、ボクの場合は自分でいうのもなんだが根が素直で信じやすいタイプというか、もともと警戒心の薄いノー天気型の人種らしいからなおさらである。
まぁ騙されやすいタイプでしょうな。オレオレ詐欺はともかく、もうすこしもっともらしくアプローチしてくるような甘い話だったらコロリとやられかねないから心しなければならないのだ。
でもそんな用心深さを維持することがそもそも可能なりや…
予報通り朝4時の空気は室内と言えどキィ~ンと冷え切っていて、布団から抜け出せたところでその空気の中で着替えるなんて芸当はとてもできる相談ではない。
だからガスストーブを置いてある隣の部屋に駆け込んで、ガスに点火し、ストーブの前にネコのように縮こまって温風を浴び、身体全体の緊張が解けるまで着替えるなんてことは金輪際無理なのだ。
今冬の寒さから生き残るために編み出した〝新技〟で、生まれて初めて朝のルーティンに取り入れた。
脆弱な奴めと笑わば笑え。朝の4時など誰も見ちゃぁいないのだ。知ったことか。やりたいようにやるのに何のハバカリがあろうぞ。
こんな風に起きるのだってあと少しだろうさ。味わいつつ楽しみつつ、秘密の儀式に臨んでやるのだ。
寒いと言えば北の国の広い雪原に敷かれた線路を上をストーブをたいた列車が走っているという。
ストーブの上では乗客の求めに応じてスルメが炙られ、割いたスルメを肴に日本酒が飲めるんだという。
この列車で広い雪原の上まで行って、そこでわざわざ降りて名物の地吹雪を体験するツアーなるものも人気だというが、ま、ご勝手にというところですな。
寒いのは金輪際ゴメンだが、温かなところで雪見酒としゃれこみながらスルメで一杯というのは、ともかく魅力的である。
3、4年前に1度その列車が走っているすぐ近くまで行きながら、時間の関係などで断念したのだが、その後のリベンジがまだ済んでいない。
また来年に先送りだが、ぼちぼち実現を考えてもよさそうな時間は経過している。
ところでボクの心はいつまでも往生際の悪い寒さなんかうっちゃって、はるか夏に飛んでいるのだ。
夏こそわが命。出来たら常夏の国に住みたいのだが、そうおいそれとはいかないから、毎年めぐってくる夏という季節に思いを寄せるのだ。
数個の気象衛星を駆使している我らが気象庁によれば、今夏は「暑い夏」であるという。
うむ! 嬉しいご託宣ではないか。今冬の寒さが長く続き、しかも厳しかったのだから、そのリターンはあってしかるべきなのだ。
物事にはバランスというものが必要なのだ。
人間同士の付き合い、国と国との関係でも一方的というのはいけません。
片方が譲歩するならもう一方も譲るべきは譲る、主張すべきは互いに主張しあう。どちらか片方が損したり我慢するだけではこの世は立ち行かない。
話がへんちくりんな方角に向かってしまったが、とにかく暑いの歓迎なのだ。
冬将軍は12月からたっぷり2月まで、そして今も…。随分長逗留だぜ。
願わくば炎帝も6月早々から10月中旬くらいまで大活躍されんことを願うものである。炎帝万歳!



横浜イングリッシュガーデンの「エレガンス・ミユキ」。サクラとして品種登録されているが、サクラとウメを掛け合わせた新しい品種で日本ではまだ珍しく、これほど大きい株はここを除いては見られない。もともと、ウメとサクラの両方の花を気に入ったアメリカ人がどうせなら結婚させてしまえと交配を試みたもので、日本人はそれぞれの良さを愛でようとするから、そんな発想には結びつかないが、何でも手に入れたがる欲張りな国の国民らしい発想から誕生した「サクラ」である。おしべやめしべの辺りにウメの特徴が出ている