満開に近づいていた花のほとんどを切り取ってしまい、花瓶に活けたりご近所の差し上げたりしてしまった。
進んでしたことではなく、背に腹は代えられない気持ちでそうせざるを得なかったと言うべきだろう。
鉢植えにして大切に育てている「空蝉」と挿し木ですくすく育っている「ブラッシングアイスバーグ」。
わけても箱入り娘の「空蝉」は去年、カイガラムシに取りつかれてしまったほか、うどん粉病と黒星病に侵されてしまい、一時は葉っぱが全て落ちてしまうという大ピンチを迎えながら、健気にも今年何とか復活を遂げてくれた、いわば病み上がりの身である。
それが、大きく開いた花の一つ一つが強風にあおられ続けるのを目の当たりにしては正視に耐えず、しかも大雨になるという予報まで加わるに及んで雨と風のダブルパンチを受けたら枝が折れる前に花がズタボロになることは明らかで、そんな姿を想像すると矢も楯もたまらず切り花にする決断を下したのだった。
今年の春は風が強い。
バラの盛りに合わせたように強い風が止むことなく吹く。
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
井伏鱒二は于武陵の「勧酒」をかくの如く訳したが、何が「例え」なものか。
正岡子規のお母さん流に言わせてもらえば「毎年よ 花の盛りの 大嵐」だろう。
幸いと言うべきか、今年のわが家のバラたちは、何故か他所のバラたちが早々と満開を謳歌しているというのに、ようやくポツポツ咲き出した状態。
幾つかのバラが「空蝉」同様、うどん粉病や黒星病にかかってしまい、その病後の体力が落ちているところに持ってきて、バラゾウムシが暴れまくったおかげで軒並みツボミがやられてしまって咲くに咲けず、二番花の時期まで待たなければいけなくなっているという悲しい事態が起きているのである。
ホッと胸などなでおろしている場合なんかじゃないのだ。
階下のバラはまだ見ていないが、2階のベランダの「空蝉」と「ブラッシングアイスバーグ」にわずかに残した花は、たっぷり水を吸って重たくなった頭を完全に垂らし、何とも痛々しい。
風だって吹かなきゃ困るし、雨だって降らなきゃもっと困る。
だから吹いてくれていいし降ってくれていいのだが、最近の気候は「ほどほど」という言葉を知らないかのようで、実に腹立たしく気に喰わない。
大型連休も明けたし(何の関係もないけど…)ぼちぼち穏やかな気候になってくれないかねぇ。
以下は「空蝉」一番花の送別の意味を込めたアルバム
中旬以降には二番花が咲き出してくれることだろう
穏やかな気候を期待しつつ…