平方録

咲イタ 咲イタ サクラ ガ 咲イタ イッパイ 咲イタ

世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし なんてナリヒラさんが名歌を残すものだから、「そうだそうだ」とすっかり賛同しちゃって、あっちの尾根道こっちの尾根筋とわが家周辺の山に分け入ってはヤマザクラばっかり追い求めていたら身体がすっかりサクラ色に染まっちまった……

全身ピンク色でござりまする…なんてわけはないけれど、ココロもマナコもサクラ色 ♪
でも、毎日毎日人気のない山の中をさまよっているとフト、シャバの賑わいも気になるものですナ。
とは言うものの東京の上野公園のようなドンチャン騒ぎしている連中なんかに興味はなくて、園芸品種をそろえてきれいに咲かせているような名所ってのがあるので、そんなところも見てみたいと思ったわけでござりまする。
素材を生かした素朴さの中に珠玉のような味わいのこもった逸品ばかりを食べ歩く毎日が続くと、たまには場末の食堂に入って少し濃い目の味付けの定食を食べて見たくなるって言う気持ちと一緒ですかナ。

で、30数種類のサクラを植えている横浜イングリッシュガーデンに行ってきました。
念のため言っときますけど、そこが場末の食堂みたいなところってことじゃありませんからね。
バラのシーズンになるとそれはそれは見事なんだから…
そのバラのシーズンを前にバラ科サクラ属のサクラも愛でてみようって寸法でさぁ(なんか口調がバラバラだけど悪しからず)。

口で説明するより手配写真…じゃなかった、端正なで清楚な令嬢から艶麗な貴婦人まで、とくとごご紹介。
まずはこのお方から。




イングリッシュガーデンですからまずはイギリスから里帰りした「アーコレード」。ソメイヨシノによく似た感じだけれど花の色がより濃くて、おソメちゃんに比べると全体にほんのりピンク色。
気温の低いエゲレス生まれだからか、暖かいニッポンにやってきたら秋にも咲くようになり、2季咲きで楽しませてくれる。
10数本が芝生の広場の園路に沿って植えられている。オオヤマザクラとコヒガンザクラの交配によって誕生した品種。






で、こちらの3枚がわがニッポン代表ご存じ鞍馬天狗…のわけはなくて、春日野屋の看板娘ソメイヨシノにござりまする


ハナカイドウ、サンシュユも混じって春は爛漫


そう、とっていいのは写真だけ!




以上2枚が「陽光」


これも似た花色だが「クルサル」。チシマザクラとカンヒザクラが親だそう


これもピンクが濃い「湘南緋桜」


さぁ~て、お立合い、この花 何ぁ~んだ?
名前は「エレガンス・ミユキ」。何でも自分たちの思うとおりになると思い込んでいるアメリカ人がウメとサクラを交配させて作ってしまったんですナ。
ウメの血を引いたからか2月ごろから咲いてしまうのだ。だからもうすっかり葉桜で、花はわずかだった。
それぞれを誇りに思い大事にしている日本人はこういう無粋なことはしませんナ。
アメリカファースト、ゴーマンアメリカ !?


気を取り直して……こちらは「祇園枝垂れ」。いいですなぁ、楚々として




こちらはちょっと八重っぽい「春月花」で〝シュンゲツカ〟だって




吾輩はサクラである。まだ名はない。生まれ落ちた所がたまたま花の園だったのが幸いしたか、心ある園丁に見いだされて芝生広場の特別な場所を与えられここまで育ってきた……
そう、今から7、8年前、大改造が終わってひと段落した後、スーパーバイザーの河合伸之さんが自生している小さな苗を見つけ、「どんな花が咲くのだろう」と芝生広場の縁に植えたのだ。
それがここまで育って白い花を咲かせ、薄緑色の葉っぱとよく調和してとても清楚でとても良い感じ!
花に近寄ると、甘くてさわやかな香りがほんのり漂ってきて……、これは世界的な名花の降臨ではあるまいか。
河合スーパーバイザーは生憎出張中で不在だったが、命名の件も含めて今度意見を聞いてみよう。
増やしたらボクの家にも1本欲しいなぁ。
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