平方録

まずは勉強だぁ~!

予告通り東京の原宿まで出かけ竹下通りに行ってきた。

どうしてまたジジイがそんな場違いなところへ、と思われるかもしれない。
理由は後述するとして、ここを歩くのは4、5年ぶりである。
この時は同じ原宿にある浮世絵の太田記念美術館で北斎の娘の葛飾応為が描いた「吉原格子先之図」という、印象派の画家たちやフェルメールらが腰を抜かすような作品を展示していたので、それが見たくて出かけ、帰りにたまたま通り抜けたのだ。
そして昨日、ボクが竹下通りの入り口に着いたのは午後2時15分だった。

春休みだから、結構人が出ているだろうなぁとは思っていた。
ここに来る前、カツ丼が食べたくなって、わざわざ江戸勤番時代に時々食べに行っていた銀座の店に寄ったのだが、銀座本通りの人波は「まぁこんなもんか」という程度で、そこそこだった。
ところが、地下鉄を降りて地上に出ると、萌え始めたケヤキ並木の若緑が印象的な原宿本通りの歩道が人であふれかえっているのを見て、あぁ、ここは原宿なのだと思ったものだ。
そして竹下通りに入ろうと角を曲がった途端に仰天の光景が待ち構えていた。

JRの駅側から通りに入ると、下り坂になっているので通りの先まで見渡せるのだが、見渡す限り人の頭でぎっしり埋め尽くされている!
まさに立錐の余地もなさそうだ、という表現がぴったりくるような混み方である。
しかし、はるばるやって来たのだ。こんなことでひるむわけにはいかない。

意を決したボクは、若いお嬢さんたちの後に続いてその群れの中に入っていく。
しかし、入ったはいいのだが、自由が効かない。
あの店をのぞこうとか、ちょっと立ち止まって写真を撮ろうなどという、自分の意思で行動することは不可能で、前後左右から挟み込まれたまま、全体の流れに身をゆだねるしかない。
バブル期の満員電車内がこうだったなぁと久しぶりの感覚を思いだした。

しかし、少しづつでも前進できているうちはまだよかった。
通りの中ほどまでくると、その動きも止まってしまい、その場で押しくらまんじゅうが始まった。
白人もアジア系も一緒くたになって「国際押しくらまんじゅう原宿竹下通り大会」。
こういう時、お隣の人口の多い国からの訪問者たちは本国を思い起こすのだろうか、やみくもに押すものだからあちこちで女の子たちから悲鳴が上がる。

警察官がハンドマイクを持って駆け付けてきて「押すな」とか「左側通行してください」とか呼びかけたがどれくらい効果があったのだろう。
第一、日本語が通じるのかさえ疑問である。
結局、350メートルほどの通りを抜け切るのに30~40分もかかってしまった。
抜けきったところに竹下通りには不釣り合いなアシックスの店があって、そこはさすがに空いていてボクはこの店内に避難して一息ついたのだった。
近づいてきた店員が「春休みは毎年込み合いますが、今日は特に混んでますね」と呆れたような顔をしていた。

思い立って竹下通りにやってきたのは姫のリクエストにこたえるための事前勉強なのだ。
新学期を前に北関東の県庁所在地から四国の愛媛の小都市に引っ越してしまった姫とテレビ電話で話していて、「夏休みにジイジのところに遊びに行ったら原宿の竹下通りに連れて行ってね」と頼まれたのだ。
5年生になる姫の目下の興味は小学生の間で人気の雑誌に出てくるファッションで、その聖地が竹下通りらしいのだ。
良いか悪いかは別として、その実態・実相というものを理解しておかなければ判断ができない。
まずは現地調査という訳である。まずは現場に足を運ばねば……。それが現役時代からの信条なのだ。

この日、通りにあふれていたのは小中学生が中心で「なるほど」と思わせられる。それに加えてもう少し大人の若い女性、そして外国人。
友達どうしてやって来たグループや親と一緒に地方から出てきたような子たち……、
ボクだって今考えれば、なんで? と大人が眉をひそめるようなものに興味を示したものだった。

それが成長過程にとって自然なことだとすれば、できることはジイジとして手伝うというのがボクのスタンスなのだ。
任せなさい!



地下鉄を降りて地上に出るとJR原宿駅前だった


ケヤキ並木が萌え始めた原宿の本通りはとても賑わっていた


さて、いよいよ竹下通りへ


オ~ッ ?!


見よ! この 人、人、人…


人気の店が集まるビルらしい


こっちも


前に進めない!


やれやれ、やっと空いたところにやってきた。親と一緒にやってきた子たち


クレープ屋は長蛇の列


店の前で立ち止まって飲むな、歩きながら飲め! って張り紙が
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