目覚まし時計代わりにしているNHKラジオの午前4時のニュースをベッドの中で聞き、そのまましばらくジッとしていたのは冷え切った空気に身をさらすのに勇気がいるためである。
5分から長い時は10分近く、最近はあまりないが、そのまま再び寝入ってしまって慌てたことも少なからず。
意を決して冷気の真っただ中に身をさらし、フリースを羽織っただけでガスストーブに点火してその前にうずくまることしばし…
毎朝繰り返される行動パターンはまだ当分続くことだろう。
今朝は着替えが済むとすぐにベランダに出てみた。
空模様や如何に…
雪は降り出しているのかどうか…
ベランダに出る折り戸を開けてみると、空に星の一つも見えず、外気はそれほど寒くはない。
多分分厚い雲が覆っていて放射冷却を防いでいるためだろう。
おまけに肉眼で見える範囲は普段の景色と何ら変わらず、道も濡れていない。
…なんだまだか…と、いささかがっかりしながら室内に戻りかけると、顔に何やら当たるものがある。
「もの」は上から落ちてきていて、雪に思えなくもないが、それほどはっきりした粒でもなく、雨のようでもある。
細かな小糠雨みたいなやつである。
すぐにパソコンを立ち上げて隣町のアメダス記録計を覗くと4:00の気温が4.7℃あるのでこれでは雪にはならない。
しかし、10分おきに気温は下がっているようで、5:00には3.8℃まで下がってきた。
このまま下がり続ければ…ってところだが、5:30を過ぎるころになると小糠雨状態を出してはっきりした雨粒が体に当たるようになり、音も立てはじめた。
「警報級の雪になるかも」なんて、気象庁はわざわざ記者会見まで開いて脅かすが、気象庁が張り切る時は肩透かしと背中合わせのことが少なくない。
大袈裟な分、空振りは目立つ…というものだ。
大丈夫かいなと思うけれど、雪合戦や雪だるまを作ろうと手ぐすねしているちびっ子に恨まれこそすれ、ほとんどのオトナは誰も傷つかないだろうし、ましてや恨みに思ったりしないはずである。
かくいう隠居ジジイだって、雪景色を見るだけならいざ知らず、余分な体力を使う雪掻きなんて真っ平で、予報が外れてくれればいいと思っている口である。
予報じゃ降るのは今日だけじゃなく、明日も降り続けるというのだから何をかいわんやでないか。
このまま雨でいておくれ。
正岡子規の句にあるじゃん。
あたたかな雨がふるなり枯葎
最後の2文字は「かれむぐら」と読んで、かたまって枯れている庭先の雑草の事だが、どこか春めいてうるんだ感じがこの句の肝で、ボクは今、まさにそんな雨を待っている。