チューリップは赤白黄色が相場だが、アネモネは黄色の代わりに濃いブルーだ。
球根を植え付けておけばやがて芽を出し、双方とも手間いらずであでやかな花を咲かせるのだから重宝と言えば重宝。
花の咲く時期がまずアネモネで次にチューリップというのも花壇のにぎやかさにとっては好都合である。
これらの花の周りに薄いブルーのネモフィラや黄色と白の小花をつけるリムナンテス、そしてパンジー、ワスレナグサが咲きそろうともう春は本番で、やがてバラが開花してボクをうっとりとさせる。
このころになると毎年ウグイスの次に待ち焦がれるもう一つの初音が気になり始める。
「目には青葉山時鳥初鰹」のホトトギスの鳴き声で「東京特許許可局」というその鳴き声は決して美声とはいいがたいが、夜明けだろうが深夜だろうが、あのけたたましい鳴き声を耳にすると夏大好き人間のボクは待望の夏がやって来たことにアグレマンを得た思いがするのだ。
2月22日に初音を聞いたウグイスはもうすっかり歌に慣れ、いかにも「どうよ! 」と言わんばかりに長ぁ~いリズミカルな谷渡りの美声を響かせると、思わず「お上手、お上手! 」と拍手の一つも送りたくなるほどの上達ぶりである。
この「初音」という単語ひとつで特定できる鳥はウグイスとホトトギスを置いて他にはいない。それくらいに日本人の感性を揺さぶる存在なのが両鳥なのだ。
面白いことにホトトギスはウグイスの巣に卵を産み付け、それを托卵と言うんだそうだが、ウグイスはを知ってか知らずか、ちゃんと温めて孵化させるそうである。
〝似た者同士〟の絆ここにありってわけだろうか。
今朝、いつものように4時に起き出してベランダに出て見ると降り始めだからだろうか、雨が音を立てていて、空気が冷え切っている。
最低気温は昨日に比べて11度も低いと、昨夜の天気予報は言っていたが、どうやら当たっているようだ。
こういう寒の戻りは別に驚きもしないが往生際の悪い冬将軍め、さっさと帰れよ。
昨日は気温がぐんぐん上がって20度を超えたようだが、ヤマザクラの開花の具合が気になって、とりあえず近くの広町緑地に行ってみた。
ここには「大桜」と呼ばれる、たぶんオオシマザクラだろうと思われる巨樹があって、この緑地のシンボル的存在になっているのだが、2、3分咲きというところだったところを見ると、巷のソメイさんたちより弱冠早いようである。
大桜にたどり着くまでの尾根道にはすでに満開に近いようなヤマザクラも何本かあり、ついに今年も桜の季節までたどり着いたことが嬉しい。
世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし
在原業平はこの世に桜の花というものが全くなかったなら、さぞや春の心はのどかだろううに—―とボヤいてみせて、逆説的にサクラの花への深い愛情を詠っている。
ボクもこれから2週間ほどはあっちの尾根こっちの尾根と尾根を伝いながら気ぜわしくヤマザクラを追いかける日々を送ることになるのだろう。
「大桜」は2、3分咲き
同
同
「大桜」に至る途中の尾根道には満開に近いヤマザクラも
同
木々が生い茂る緑地の丘陵には所々パッチワークのようにヤマザクラが輝く
近づいてみる
足元にはタチツボスミレの群落が=いずれも鎌倉・広町緑地で
わが家のアネモネ
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