家にいると遠くでコジュケイが鳴くのが聞こえる。
「チョットコォ~イ」と鳴くアレである。
この鳴き声を聞くと、いつもアノ話を思い出す♪
そのチョットコ~イに呼ばれて「それならちょっと行きましょう」と藪に分け入った牧師がコジュケイのオスを捕まえる。
信州・大町で暮らしている牧師の話で、東京の仲間に鴨料理をふるまう約束をしていて、どうにも鴨が手に入らないで困っているところに、この声を聞いて閃いたというのだ。
首をひねり、カバンに放り込んで意気揚々と上京の途に就くのだが、時間があったので途中で映画館に入ったりする。
その映画は寅さんの男はつらいよシリーズ・葛飾立志編。例によって大学助手に惚れて学を志し「人間は考える葦である」などと哲学めいた議論に、寅サン神妙な顔をして毛脛を叩きながら「人間は考える足ねぇ」とやると館内一杯の哄笑に包まれる。
すると突如カバンの中から「ケケケケ」と鳴き声がして息を吹き返したコジュケイが騒ぎだす。
慌てた牧師は暗がりでカバンに手を突っ込み、もう一度首を締め直して黙らせる…
そして東京に着いて約束通り向かった女子大の研究室で、集まった女子学生たちに「君たちオンナはオトコからムシルのが得意だろうから、このコジュケイの毛をきれいにムシリ給え」と命ずる。
ところが皆、目を覆って震えだしてしり込みするばかり。ただ一人上級生の女子学生のひとりが平然と毛をムシリ、火の上を転がして残った毛まできれいに処理したんだという。
そして遂にオーブンから取り出されたコジュケイが等分に分けられ、口にし始めると毛もムシレないで震えていた女子学生たちが「大学構内でコジュケイを見たワ」などと俄然色めき立ったんだそうな。
太田愛人牧師の『辺境の食卓』に出てくる話である。
そのコジュケイが昨日、ボクのすぐ前を腰を振り振りヨチヨチ歩いた。
その丸く膨らんだお尻はとても美味しそうだったのだが…
いつもの池と森の公園
ハンゲショウが群れ咲いている辺りの木道に足を踏み入れようとした瞬間、丸々と太ったおいしそうなお尻が見えた♪
もしや、コジュケイさんでは…と聞くまでも無くチラッと振り返ったその顔は正真正銘のコジュケイ
遠慮して木道に入らず、しばらくじっと立っていると逃げる気配がない
それで一歩踏み出すと向こうも一歩二歩遠ざかる
まるで「だるまさん転んだ」で遊ばれてるみたいな気分
遂には落ちているものをついばみ始める余裕も
こいつを捕まえるにはどうしたらいいだろう…と思う
虫取り網じゃいくらなんでも無理だろうし…
手づかみ…と思って距離を縮めると、殺気でも感じたか急に距離を開け始めるところはさすがに野生の本能か
どこか急ぎ足 逃げの姿勢ありあり…
そしてついに木道から飛び降りてエサを探しながら茂みの中へ消えて行ってしまった
ハンゲショウと木道
ヤマユリが終わったら今度はオニユリの出番
咲き始めだからまだきれい
それでもヤマユリの匂いと花の姿の美しさには敵わないネ
見晴らしの良いところまで登ったら、水平線が消えていた
晴れていれば左の山の頂部分のすぐ上に伊豆大島が浮かび、その辺りが水平線なのだが…
2021.12に同じ位置で撮影した写真 見えているのは伊豆大島 水平線は手前の山の頂と同じ位置にある