台風が通り過ぎた後の「湘南海岸自転車道」の様子を見に出かけた。
何せ「非常に強い」という形容詞付きの16号が接近した湘南海岸一帯は暴風雨圏にこそ入らなかったが、強風域に入ったかと思うと午前8時ころから午後8時過ぎまで12時間も強い風にさらされ続けたのだった。
街中では風が吹くと桶屋が儲かるらしいが、海辺に限っては大量の砂が思わぬ動きをしてヒトを戸惑わせる。
例年のことだが、春先の西寄りの強風から始まって5月のメイストーム、そして夏の台風、秋の台風と、遮るものがない海辺は常に強い風に翻弄される。
強い風が吹くと決まって海の砂が動く。
その砂が国道などに堆積すれば、たちどころに車の通行が不可能になるし、人家まで飛ばされれば洗濯物は砂まみれになるし、部屋の中はざらざらになってしまう。
住民は黙っていないだろうし、行政が指をくわえているだけなら筵端を押し立てて役場を取り囲んみ、海辺の砂をぶちまけて砂まみれにして騒ぐはずである。
そういう二次被害も含めて、それ等の防止のため、人智は防砂林を生み出して砂の飛散を防ぐのだ。
お陰で、浜辺のすぐ脇を通る国道134号が砂の堆積で通行止めになったという話は聞いたことがない。
海辺に暮らす人々が砂の害の改善を求めて裁判所に訴えを起こしたという話も聞かない。
防風林の効果である。
ところが、この国道より海側、防風林よりも海側に位置する自転車道はこの限りではなく、常にアメーバのように動き回る砂粒のお陰でしばしば通せんぼを食らうのである。
そして一旦大量の砂が自転車道を覆ったが最後、砂の除去は簡単ではない。
雪国の人たちが降り積もる雪の除雪作業にご苦労されていることは知っている。
大変な労力だと思うが、雪は暖かくなると解ける。水路に捨てることが出来れば水流が解かして運んでくれる。
だがしかし、砂と言うやつに限ってはどんな状況下でも決して解けちゃくれないのだ。
人の手でどかさなければならない。
この除砂作業が難物で、スコップで立ち向かうとなると引地川河口から相模川河口まで延長10kmほどのコース上の砂を取り除くのにどれだけの人力が必要か…
行政の予算配分がいい加減なのか、あるいはどうせ遊びのための道路だからと継子扱いでもしているのか、ひどいときは2,3か月も放置されたままにされることもあった。
最近はエライ人が交代したとみえてブルドーザーを数台投入して一斉に作業に着手して、瞬く間にかたずけてしまうようになった。
去年から今年初めにかけては古くなって破れたり、砂に埋もれかけていた竹製の防砂柵まで新調され、装いを新たにしたのを見て、税金の効率的な使い方として褒めてあげようと思ったくらいだ。
画面右寄りの中央付近に富士山の頭がかすかに見えている=鵠沼海岸
3日に台風16号が過ぎ去った直後の早朝こそ、きれいに姿を見せていた富士山だが、日が高く上るにつれて雲で姿を隠して以来、この程度しか姿を現さない=江ノ島・弁天橋から