キントキダイというんだそうだ。
体長30cmくらいで全身を赤く染めている上に大きな金色の目が光るものだから魚屋の店先ではひと際目を引く。
店番の女性に聞くと今日のお勧めはタチウオにこのキントキダイ(見出し写真)だという。
タチウオは時々口にするがキントキダイは食べたことがない。
見た目はキンメダイに似ているが一回り小さいようだ。
どうやって食べると美味しいのかと聞くと、待ってましたとばかりに説明してくれて刺身、煮魚、焼き魚と何でもおいしいが、地元の漁師が競って持ち帰りたがる魚で、全身に強く塩を当て丸ごと焼いて食べるんだそうな。
すると、硬い鱗の表皮がペロンとはがれやすくなるから露出した白身に醤油を適宜かけて食べると蒸し焼き状態になった身は絶品なんだとか。
並べられていた5、6尾の中から一番丸々と太ったものを計ってもらったら1700円だという。
年金暮らしの身にこの場合の1人1尾は贅沢過ぎるものだから1尾しか買わなかった(買えなかった)が、妻と半身ずつ食べてみたら店の説明は至極ごもっともで、蒸しあがった白身は脂が乗っているから旨味も加わって実に上品な味わいと言えた。
久しぶりにうまい焼き魚に出会えたっ ! という気分である。ぜひまた口にしたいし、今度は刺身も試してみたい。
こういうのを目からウロコって言うんだよな。
この年になるまでこんなに美味しい魚の存在に気付かなかったとは不覚もいい所である。
ネットで調べたら案の定、日本での分布域が西日本とあったし、別の資料では相模湾以西の沿岸と記されているものの、東日本では市場に出回ることは稀だと書いてあった。
それ見ろ、知らないで過ごしてきたのも無理からぬところじゃないか。
この魚屋は三浦半島最南端の三崎漁港に面したところにあって、年に何度も行かないのだが、覗く度に珍しい魚や見慣れた魚でも知らなかった食べ方を教えてもらって帰って来る。
こういう魚屋が身近にあればとつくづく思うのだ…
そんなわけで徳島の友人から届いたスダチをたっぷり絞った焼酎のロックがことのほか美味しく、食卓の写真を撮るのもすっかり忘れてしまった。
春も秋も、彼岸の鎌倉は観光客と墓参りの人たちで鉄道も道路も人や車であふれかえる。
従って、ボクら夫婦はこれから4日間はコロナのこともあるし、どこにも出かけず家で巣ごもりの生活に入る。
世の中は〝Go toトラブル〟だかなんだか騒いでいるが、別の世界の事である。
そんなわけで街の中心部を横断しなければならない墓参りを彼岸の入り1日前だったが、昨日済ませ、その足で三浦半島のドライブに向かったのだ。
10m近い南西の強風が吹いていて、三浦半島の小高い丘の上に広がる野菜畑地帯は薄茶色のベールに包まれたように霞んでいた。
端境期で何も植わっていないむき出しの土が強風に巻き上げらて空中に飛散しているためだった。
湘南海岸の自転車道も砂に埋まりかけているんだろうなぁ…

キャベツやスイカの栽培が終わり次の準備が始まっている

広々と広がる畑地

風車は強風にさらされて嬉しそうにぶんぶん回っている

黒々とした大地 次はダイコンの栽培が控えているはずである

何時も南西の強風にさらされる場所では木々が一方向になでつけられるように育っている
そういうところにさらに強風が吹き付けているものだから木々には逆らいようがない