空も東の方角にはぎっしりと雲が詰まったままだが西を見るともうすぐそばまで青空が迫ってきている。
東京の予想気温は29度‼ とも出ていたが、昨日までの涼しさ加減を思えばそれもまた一興というものだろう。
ボクの暮らす東京よりもずっと南の海辺の町に出ている予報では最高気温は24度だから、初夏らしい快適な気候が戻ってくるという訳である。
いつものことだが、彼我の違いは大きい。
さて、話は変わって円覚寺の説教坐禅会。
毎月第2日曜日の行事だが、今回もまた500人を超す人々が大方丈を埋め尽くし、説教を行う横田南嶺管長の人気ぶりは相変わらずである。
ボクは仕事柄ほとんどの日刊紙に目を通す毎日だったが、その必要もなくなった2、3年前から読売新聞は手に取っていない。
だから読売新聞紙上で俳人の長谷川櫂が毎日コラムを書いていてそれが5000回にも達したということも知らない。
知らないが、5000回を記念して長谷川櫂の対談を特集することになり横田管長に対談の相手になってほしいという依頼が届いたのだという。
驚いたのは一面識もなかったのにオファーが来た横田管長の方だろうが、それを聞いたボクも「へぇ~ そんなこともあるんだ! 」っと驚いたものだ。
話はいつになく漫談調になり、長谷川櫂の著作をはじめ俳句の本を何冊も買い込んでにわか勉強をして臨んだことなどが面白おかしく語られた。
いつにない口調だったので、説教の新境地を開こうとでもしているのかと勘繰ったほどである。
「芭蕉に『古池や…』の句がありますが、櫂先生は「古池にかわづは飛び込んだか」という本まで書いちゃったんですな。多くの日本人はそんなことどうだっていい! と思っているはずですが、私も買い求めて読みましたよ。あれで1冊の本になっちゃうんですナ」などと話すと、会場は大いに盛り上がり、笑い声が何度も沸き起こる説教会になった。
で、2時間の対談は無事終了したそうだが、丁重な礼状が届いたそうである。
そこには和紙に筆で書かれた句が9つ。
対談や関わりもなくかわづ鳴く
初かわづこの静けさはどこよりぞ
かわづ鳴く老師の声も朗々と
したたるや山の奥まで大伽藍
など。
最後の1句を除いてすべてかわづを詠んだ句である。
で、我らが管長サンは「私よりもかわづなんですナ、主役は。私の句も詠んでくれていますが、私のはかわづの後に出てきて、しかも『も』という文字が加わって、従の関係なんですよ。私はかわづに負けたんです」などとすねてみせるとまた爆笑が起きるありさまである。
で「よせばいいのに句を返したんです」とまた笑わせ2句披露したのが次の句。
喜べやうちの蛙も句になった
かわづらも櫂先生の句となれり
ここまでされると、もう会場は大爆笑。
でも、そこはさすがは臨済宗円覚寺派管長の金看板を背負う方である。爆笑だけで帰してしまうようなことはしない。これで帰したのでは寄席になってしまう。
いわく「今朝も『主役』になったかわづの鳴き声が聞こえてまいります。われわれはこの鳴き声を聞こうと思って聞いているのではありません。何の計らいもなく聞こえてくる。そういう心を持って生まれてきているのです。では。その心はどこにあるのか。仏心という仏の心の中にいて、かわづの声を聞くことが出来ているのです。両親を通じていただいた心なのです。そのことを忘れないでいただきたい」と。
しかし、何ですナ。横田管長の句も当代随一とうたわれる長谷川櫂の句も大したことないやネ。
これならボクら二合会の連中の句だって立派に伍していけますぜ。道場破りしちゃおうかしらん。
バラに夢中になっているうちにイワタバコが咲き始めた=円覚寺龍隠庵
円覚寺と県道を挟んだ東慶寺にはイワタバコの群落がある岸壁があるのだ。今どんな具合だろうか
ツユクサの一種=円覚寺黄梅院
これもツユクサの一種=同居士林
ミヤコワスレ=同龍隠庵
色鮮やかな是は? =龍隠庵
したたるや山の奥まで大伽藍=大方丈庭園
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heihoroku
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