杜牧の「山行」と題された七言絶句。
遠上寒山石径斜
白雲生処有人家
停車坐愛楓林晩
霜葉紅於二月花
遠く寒山に上れば石径(せっけい)斜めなり
白雲生ずる処(ところ)人家有り
車を停めて坐(そぞ)ろに愛す楓林(ふうりん)の晩(くれ)
霜葉(そうよう)は二月の花よりも紅なり
と読み下し
秋の深い山に登れば、岩場の小径は勾配が急になり
白雲をはき出す辺りに人家が見える
車を止めて何とはなしに楓林を見入る
寒さで色づいた葉は春の花よりもいっそう紅く見える
という趣旨の詩である。
高校で初めて漢文というものに触れて、最初に覚えたのがこの詩や「千里鶯啼いて緑紅に映ず」で始まる「江南の春」あたりだったように思う。
これも杜牧の作で、杜牧は好きな詩人の一人だ。
鎌倉の紅葉は例年12月上旬だから、まだひと月も先だし、今年は特に台風24号がもたらした強風によって巻き上げられた波しぶきが街や山に降り注ぎ、まともに塩を浴びた植物は針葉樹や肉厚の照葉樹を除いてすっかり葉を落としてしまったから、山の至る所で〝枯れ木〟の目立つ冬景色が広がっている。
紅葉など望むべくもない惨状なのだが、そうなると余計に無いものねだりをしたくなるのが人の性というもので、因果なことである。
のぞき見させてもらっている北海道・釧路在住の「タックの庭仕事―黄昏人生残日録—」さんのブログによれば「例年、11月上旬には落葉するカラマツが、この秋は気温が高く『立冬』になってもまだ黄葉の真っ盛りで、暦を無視するかのごとく秋まき小麦畑の新緑とともに『春と秋』を競演」という状態だそうだ。
きれいな青空を背景にカラマツの黄葉と小麦の新緑が対比するシュールともいえる光景を写した写真が添えられていて、珍百景を見せられた思いである。
そのデンで行けば、わが鎌倉の紅葉は正月と重なる? かもしれぬ。
塩害にやられて葉が散ってしまったとはいえ、大きな建物の影だったり、谷戸の奥で風がよけて通ったようなところの葉は残っているものが多い。
坐禅に出かける円覚寺でもたっぷり葉を残しているモミジやカエデが残っているから、若干の紅葉は楽しめそうだ。
除夜の鐘の振動でハラリハラリと散るカエデやモミジ葉があるやもしれず、そうなればそれもまた一興ではある。
行く年くる年のテレビ映像でそんな光景を映し出すように指示できる繊細な感性を持ったディレクターでもいれば、拍手喝さいするけどね。
今年はわが家のカンキツの出来が今までにないくらい良くて、夏ミカンも色づき始めてきた
こちらは鉢植えのレモン ♪
山形の友人が送ってくれた渋抜きしたカキがトロ~リと熟してきた。これにウイスキーを垂らし、スプーンですくって食べるのがボク流。絶品なのだ ♪
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