江ノ島の防波堤のボードウイークでの、ある晴れた日の昼下がり…
コンビニで買ったおにぎり3つとほうじ茶のペットボトルを脇に置いて、一つ目のサバ焼きの入ったおにぎりを一口頬張って噛みだした直後だった。
ホンの2噛み、3噛み目だった。やや冷たく感じられる異物の存在にドキリとする。
おにぎりの中に何が…?
そしゃくを始めたばかりの原形をとどめた飯粒が大量に残る口中を舌の先で慎重にまさぐると…
左側奥歯の下側に3連のブリッジになった金属製のかぶせ物がポロリと外れていたのだ。
治療をしたのは2年前の同じ10月。そしゃくの頻度の高い奥歯で2年もの間、何事も無かったと捉えるべきなのか。
はたまた、たかだか2年しか持たなかったぞ、ヤブ医者め! とののしるか。
何れにしたってまた歯医者通いだ。ったくもう!
仕方なく右側の歯を使って食べ出したばかりのおにぎりの処理にかかる。
口中に残っていたものをちゃんと噛んで飲み込み、2個目の包装紙をはぎ取りにかかった時だった。
首筋に感じたのが冒頭から、もったいぶって書いている殺気である。
振り返って背後の空を見上げると、いつの間にか6、7羽のトンビがボクの上空を旋回していて、隙を伺っているのだ。
奴らの目はよく効く。ものの本に寄れば5~60メートルの上空から2キロ先でネズミがチョロと動いただけで、その姿をとらえるのだという。
そんな目を持っていたら見えすぎちゃって疲れ果てるだろうにと思うのはニンゲンの浅知恵。
奴らにとっては目が効かなくなる時が餌にありつけない時で、すべての終わりを意味する。
多分、白内障なんぞに罹っている暇もないんだろうと思う。
ま、それはともかく、ボクの昼飯が狙われている!
奴らはボクの頭上を旋回しながら、隙あらば急降下して手に持つ握り飯をかっさらおうと虎視眈々…いや、鳶視耽々(何て読むんだろう?)狙っているのだ。
実は不覚にも1度、湘南国際村の見晴らしの良い崖っぷちのベンチでサンドイッチを持っていかれたことがある。
それも、さて食べようと口に持っていきかけた瞬間にかっさらわれたのだから悔しさもひとしおだった。
それ以降同じテツは踏んでいない。
こういう時は奴らの目をきっちり睨み返してやることなのだ。
それも短時間ではなく、奴らがあきらめるまでじっと睨めてやるのだ。
ガンを飛ばされたらガンを飛ばし返す!
人と人だとケンカになるが、相手はトンビである。トンビクン、キミは油揚げだけを狙っていなさいネ。
ものの3、4分で決着はつくものなのだ。
ならず者の追いはぎ集団はターゲットにスキがないことが分かるとピィ~ヒョロォ~とのんきな鳴き声を残して遠ざかっていったのだった。
こういう時、ならず者撃退の一部始終をかたずを飲んで見守っていた通りすがりのお姫様や村の娘たちの胸をキュンとさせ、それでも何事も無かったように去っていくのがヒーローのヒーローたる所以なのだが、ボードウオークの上には爺サンの太公望が2、3人いただけで、それもじっと背を丸めて竿の先を見ていただけだったのだ。
かくして現代というのがいかに味気ないものなのかがうかがい知れるというものである。夢もロマンも無いのだ。…ん?!
前門の歯っ欠け、後門のトンビのお粗末でした。
今年は庭のホトトギスの花付きが悪い
エキナセアのグリーンジェルも8月以降は矮小な背丈の先に、これまた小さめの花しか咲かせていない
近所の公園のツリフネソウも咲くには咲いたが長雨に打たれてみすぼらしい花姿をさらす
ツリフネソウは一部で群落を成しているのだが、ちっともキレイではなかった
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heihoroku
ひろ
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