朝から気持ちの良い青空が広がり、久しぶりの太陽が輝いていたが、北寄りの風が吹いていて冷たかった。
雨の降り始めは金曜日だったから丸々1週間。
この間、月曜日の午後、予報が大外れになって太陽が顔を出したすきに外に出て身体を動かしてきたが、それ以降は再び家に閉じ込められていた。
その鬱屈もあったから、外に飛び出して有酸素運動をしたいなと思ったのだ。
しかし、午前10時を過ぎても気温は一ケタ台。膝から下はサッカーのストッキングをはくからしのげるとして、短パンから露出した太ももの辺りは冷たいだろうなぁ、と思って逡巡していたのだ。
玄関のピンポンが鳴ったのはその逡巡とどう折り合いを付けようかと、考えあぐねていた時だった。
宅配便が注文していた品物を届けにきたのだ。
注文品は短パンの下にはくタイツ。
臀部を含めた下肢の筋肉を適度に締め付け、動きをサポートするスポーツ用のタイツで、防寒にも優れている品である。
かのイチローを始め、超一流のアスリートたちだってトレーニングに使っている優れモノなのだ。
何でそんなものをいい年をしたジジイがと思われるかもしれない。
宗旨替えをした…のだ。
冬の間は寒いし冷たいし、そんな中を寒風を裂いて自転車を漕ぐのが嫌で、冬は尾根道のアップダウンを上り下りするエクササイズを選択していたのだ。
これはこれで有酸素運動としては優れモノで、真冬だってじっとり汗をかくこともあるのだが、風の弱い日などは海辺の道を突っ走りたくなることがままあった。
でも、長ズボンなど足にまとわりつく衣装を身にまとうのが嫌で、ズボンを履いて漕ぐくらいなら自転車は捨てるというのがボクのポリシーなのだ。
で、数年前からタイツを履いたらどうかとは思っていた。
どうしようかと逡巡していた正にその時届いたタイツはこれ以上ないタイミングだったと言ってよい。
間髪入れずに足を通したボクは、そのまま自転車にまたがり「ハイヨー、シルバー」と叫びつつ(うっそぴょ~ん)坂道をかけ下って行った。
喜び過ぎて上半身の防寒にやや手抜かりがあって、冷たさを感じたが、タイツに包まれた足は快適そのもので、あの圧着感というものがまたとても良い。
例えていうならポパイがホーレンソーを食べた途端に急に力が湧き出るように、ボクの下肢の筋肉は見違えるように活発になっていったのだ。
お陰で海辺の道に出るまでに普段の3分の2くらいの時間で到達してしまったほどである。
ウイークデーの湘南海岸自転車道は空いている。
ここでもボクの下肢の筋肉はキンキジャクヤク状態で、ボクの意思よりはるかに強い力でペダルを漕ぐものだから、ボクに当たる風圧はかなりのもので、速度が上がれば上がるほど寒くなるという、痛しかゆしの状態さえ出現するありさまだったのだ。
でも、これは上半身の防寒対策をきっちりやれば済むことだ。
合格。このタイツ、合格 !
イチローを真似てヨカった。
北風ピィ~プゥ~の日はやめておくつもりだから、尾根歩きと代わりばんこになると思うけど、これでボクも厳冬デビューってわけさ ♪
ポパイ・ザ・セ~ラァ~マン ♫
辻堂海岸から
丹沢の高い所も薄っすらと白くなっている
ポパイに変身するタイツ