現在時刻は2020年12月6日午前4時28分。
確か、ちょうど2時間前の午前2時28分に「はやぶさ2」が大気圏に再突入したはずだ。
目覚まし代わりのNHKラジオの午前4時のニュースで着陸予定地点のオーストラリア南部の砂漠地帯で待機しているJAXA関係者や日本大使館員、着地を伝えようと日本から派遣された日本のメディア関係者の上空を明るい光を発しながら横切った火球が肉眼ではっきり捕らえられたと言っていた。
どうやら大気圏に弾き飛ばされてしまうことも無く、かと言って突入角度が深すぎて空気抵抗で燃え尽きてしまうことも無く、最終ステップを計画通り刻んでいるらしい。
はやぶさ2が発するビーコンの音も捉えたそうだから、どこに着地したのか分かるという。
後は現地の夜明けを待って飛び立つ予定のヘリが砂漠に着地したカプセルを回収することになっている。
ホントにもうあと少し待つだけになってきた ♪
2014年12月3日に鹿児島県種子島の宇宙センターから打ち上げられた「はやぶさ2」は丸6年に渡る約52億kmの飛行を終えて再び地球に戻ってきた。
浦島太郎が持ち帰った玉手箱は「けむり」だけだったが、はやぶさ2が持ち帰った玉手箱には、小惑星「りゅうぐう」で採取に成功した生命の起源に迫る発見につながることが期待される有機物を含んだ土とガスが入っている。
どんな新発見があるのだろう…。
思い起こせば、今から10年前の初代「はやぶさ」が行方不明になった長い期間を経て突如、途絶えていた通信が再開し、今回を上回る7年ぶりの地球帰還にまでつながった‶ドラマ〟に胸打たれた一人である。
着陸地点は今回同様オーストラリア南部の砂漠地帯で、小惑星「いとかわ」で採取した岩石質微粒子を持ち帰ったのだった。
あれは2010年6月13日の事だった。
何故それを鮮明に覚えているのかというと、サッカーW杯南アフリカ大会が開かれている最中で、まさに日本チームの初戦であるカメルーン戦の前日だったからである。
結論から言うとこの時、岡ちゃん(岡田武史監督)率いる日本勢は前評判を覆してアフリカの強国に1対0で勝利したのだった。
あの「はやぶさ」の感動的な帰還を試合前日に目の当たりにして、当時のボクは「これぞ吉兆に違いない。絶対にカメルーンに勝利するはずだ」と確信した通りの展開になったからである。忘れようがないではないか。
そして続く欧州の強豪オランダには0対1で敗れたが、第3戦のデンマークには3対1と快勝し、初めて決勝トーナメント進出につなげたのだ。
あの時「はやぶさ」の奇跡の帰還という吉兆が現れなかったら、決勝トーナメント進出という快挙も無かったろうと思う。
まぁ、冷静に考えれば「はやぶさ」とW杯日本代表との間を結び付ける合理的なつながりなんてものはあり得ず、その証明もできないが、世の中には時として説明が付きにくいこともたまには起こるものなのだ。
今回だって何かの吉兆の印かもしれない。
それが何か、今のところちょっと思い浮かばないが 、今度も何かの「吉兆」であってほしいと、10年前を懐かしんでいるのである。
(見出し写真は11月6日の夕焼け)