海岸という場所は植物にとって、それほど快適とは言えないような場所ではないか?
そもそも砂地で砂漠のように乾いた場所だし、砂は少し強い風が吹くとすぐに吹き飛ばされて移動する。
周りの砂が風で吹き飛ばされてしまったり、逆に吹き寄せられた砂の下に埋まってしまったり…
じっくりと光合成をするどころではない、存在そのものを脅かされかねないリスクと背中合わせの環境に身を置いている。
寄りによってなぜそんな面倒な場所に根を下ろすことにしたのか…
ただし、傲岸不遜なニンゲンさまから言わせてもらえば、殺風景な砂浜の景色の中に過酷な環境に耐えつつ咲く可憐な花々を見ると、ホッと心和むものがあるのもまた事実。
そのニンゲンは又したり顔でいう…「住めば都」と。
しかし、現実はそれほど甘いものではなく、海岸という場所は広いようで植物が育つような条件を整えた場所は案外、多くないのではないか?
その証拠に、広大な海岸線で花が咲いている場所がどれくらいあるか…
湘南海岸自転車道をパトロールして見ても、花の咲く植物が見つかるのは限られたごく一部でしかない。
その限られた場所で植物たちは"適地"を一人占めすることなく、場所を分け合ってうまくすみ分けながら暮らしているように見える。
これは大したもので、例えば地球上で威張りくさっているニンゲンさまとやらはパレスチナやウクライナで何をしている?
厳しい生存環境の中で適地を分け合って仲良く暮らし、花を咲かせている海辺の植物たちを見るにつけ、こいつら大したものだなぁ…と、つくづく思うのである。
ハマボウフウと仲良く咲くハマヒルガオ
ハマボウフウ、ハマヒルガオ…そのほかの植物も混じっている
こちらではハマダイコン(手前)とハマヒルガオ(奥)の共演
完全な混植状態とは違って、さしずめ「日本人街」とか「中華街」などと呼ばれるようなコロニーを作っているが…
もう終わったかと思っていたハマエンドウがまだ咲き残っていた
このハマエンドウも適地を一人占めしているわけではない
何種類かの植物とごった煮状態だし
多くはテリハノイバラと仲がいいようだ 明るい黄緑色の葉が出始めたばかりのテリハノイバラの葉
テリハノイバラの花はつるバラの原種と言われ、5月の終わりから7月にかけて咲く
チガヤの穂が出そろい出し、海風に吹かれてそよぐさまはなかなか美しい
白い穂が始終同一方向に揺れるところがイイ
風の通り道が一目瞭然でわかる
チガヤの脇でメマツヨイグサが咲いている
道端や荒れ地に咲く花だそうだ
マツヨイグサよりも花が小さいが、灰色の海砂の中では黄色の花は目立つ
灌木類ではシャリンバイの花が満開
同様にトベラも満開
シャリンバイとトベラも仲良く一緒に混じり合って繁っている
何の花だろ
何の花だろ
海辺ではないが、わが家近くの山裾の道端には卯の花が白い花を咲かせている
♫ 卯の花の匂う垣根に ホトトギス早も来鳴きて…
ウグイスの初音を聞いたのはつい最近のように思えるが、月日は走り、そろそろホトトギスの初音が聞きたくなってきたね