平方録

ソーラーバッタ

いくらかしのぎやすい朝のうちにと思って姫と「ソーラーバッタ」づくりをした。

数年前、確か小学校1年生から2年生に上がる直前の春休みに上野の国立博物館で開かれていた恐竜展に連れて行った時に売店で買ったものである。
対象年齢が小学校4年生以上とあったので、ずっと保管しておいたのだ。
ソーラーパネルを使った教育玩具で、特別な工具も必要なく20分程度で簡単に手作りできると書かれている。

ソーラーパネルに直結された超小型の振動モーターをバッタの胴体にはめ込むのがとてもきつく、4年生が自分でやるにはある程度の器用さと力を持ち合わせていないと無理そうで、案の定姫もなかなかはめ込むことが出来ず苦戦した。
で、ボクが代わってやってみたのだが、指先で力任せに押し込んでようやく所定の位置に収めることが出来たくらいに固かった。
説明書にもスーッとはめ込めるような簡単な記述しかなく、あの部品の取り付けは結構苦戦するのではないかと思った。
この装置が心臓部なのだから、その取り付けがうまくいくかどうかは出来上がりを左右する。
ここを過ぎると後は簡単。手先の器用な子ならスイスイ進むだろう。

出来上がったバッタを太陽の光に直接当てた途端、はめ込んだ振動モーターが反応し姫の指先でブルブル震えだした。
「あ~っ‼ 」という驚きの声を上げるほどで、それを直接床に置いたらブルブル震えながらまるで生きているように動き回る。
と言ったって本物のバッタの動きとは全く違うのだけれど…
そして直射日光を遮るとその瞬間にブルブル振動はピタッと止まり、バッタはぴたっと動かなくなる。

この背中に背負った黒いものがソーラーパネルという太陽の光を電気に変える働きをする装置で、よく住宅の屋根に乗っている黒いパネルと同じで、この装置で電気を作っているのだとか、自然エネルギーと言って太陽がある限り使えて、原子力発電所のような大変な事故も起きないんだ――などと教える。
学校でも習ったようだ。
さらに、振動を起こすのが携帯電話のブルブルを起こすものと同じ振動モーターだと教えると「エ~ッ! 」と驚いていた。身近なものと結びつくと印象は強まるのだ。

ちょうどそこに幼稚園年少組の若が遊びにやって来てブルブル震えながら動いているのがバッタだと聞くと尻ごみをはじめ「やだ、やだ」と泣き声になる。
虫が嫌いなのだ。
ありんこも触れないらしい。

姫が一生懸命に大丈夫だと説明し、怖がらなくてもいいと諭すとしばらくたってつかめるようになり、ボクのところに指に挟んだソーラーバッタを誇らしげに見せにきた。
彼にとっては清水の舞台に匹敵したことだろう。
でもキミ、これはまだおもちゃだよ。早く本物が指でつかめるようになるといいねぇ。世界が広がるよ、きっと。

かくしてジイジの林間学校の1時限目は終了したのでした。



これが出来上がったソーラーバッタ




部品と言ったってたかが知れている








団扇の上でもブルブル


箱には「クリーンエネルギー 太陽光発電を実感しよう! 」と書かれている


今朝の夜明け=04:12
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