平方録

老人とチョコレート

早朝の猛烈な雨風をついて正月以来の再会となる姫のところへ出かけた。
さすがに最寄駅まで15分歩くと全身ずぶ濡れになる恐れもあり、タクシーを呼んで家を出た。
結局、関東に吹いた強風は春一番と認定され、風に弱いJRだが、電車がストップすることもなく無事に2時間半の道のりを走ってくれたのは上出来である。

1年生の姫とお食い初めを済ませたばかりの妹君が待ちかまえていて、家に着くと「じいじ、目をつぶって」いわれ、いわれる通りにするとチョコレートを渡された。
手作りのチョコレートで、そういえば14日はバレンタインデーである。
中に手紙も添えてあり「じいじ、だいすき。いつまでもながいきしてね」と書いてある。
御礼を言うと、手紙は姫からではなく、妹君が口をパクパク動かしているのを姫が読みとって代筆したんだと主張する。
どうやら照れているようである。

でもちゃっかりしていて、すぐにお返しをちょうだい、という。
ほしいものがあるというので、ショッピングモールまで散歩がてら出かけて行って、熊の絵が描かれた財布を買わされた。
大人が持つようなさまざまなポケットのついた財布で、物を大事に使うようにしつけられているから、この財布も大切に使ってくれるだろう。

チョコレートと言えば、つい最近、NHKの朝の情報番組で取り上げられ「カカオ70%以上のハイカカオチョコレートに新たな健康パワーがあることが判明しました」と大特集したものだから、午後に出かけたスーパーの棚からカカオの含有量が多いチョコレートがすっかり姿を消していたのには、毎度のことながらあきれた。
テレビの威力というのは恐ろしい。アベなんちゃとそのご一統サマが「意にそぐわなければ停波!」なんぞと血迷うわけである。

話を戻してNHKの説明をたどると、チョコレートに含まれるカカオプロテイン、カカオポリフェノールが秘めるのは便秘改善効果と認知症予防、そして高血圧予防だという。
認知症予防を例にとると、どこかの大学が何百人かを対象にカカオ72%のチョコレートを毎日25グラム、4週間食べ続けてもらったところ、血清中のBDNF濃度が平均で20%も上昇したんだそうである。
BDNFというのは脳の中に多くみられるたんぱく質で、神経細胞を活性化させる働きがあるんだそうな。
アルツハイマー型認知症の患者ではBDNFの量が少なくなっているので、これを増やすことで認知症予防につながるのではないかと研究者は見ているんだそうである。

その後もスーパーに出掛けるたびに、年寄りがチョコレートが並べてある棚に群がって、含有量でも確かめているのか、包みを手にとってタメツスガメツしている姿を見ると、何かとても嫌な気分にさせられるのはオイラが異常なんだろうか。
高血圧予防も、チョコレートが他の食材に比べて抜群の含有量を誇るポリフェノールの抗酸化作用で、血管がしなやかになるためらしいのだ。
まぁ、老人には喉から手を出したくなる理由があるのだが、目の色を変えて漁るのではなく、自然にさりげなく買い物かごに入れて持ち帰ってもらいたいものである。
持ち帰るっていったって、もちろんレジでお金を払ってからにしてくださいね。



晩ご飯を食べに出かけたイタリアンレストランで注文したマルゲリータが、バレンタインデーの特製とかでハート形をして出てきたので、姫が大喜びしていた。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「随筆」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事