力のない意気地なしたちが、相手の抵抗がほとんどないと知ると急に強腰になっていじめまくるようになる、その典型例と言ってよさそうである。
貴乃花親方が日本相撲協会に退職届を提出したんだそうだ。
最初は何のことか、ピンとこなかった。
時間が経つにつれて分かって来たことは、1)相撲部屋は現在5つある一門のどこかに所属しなければいけない 2)どの一門に加わる場合でも日馬富士暴行事件で国の機関に提出した告発状の中身について事実無根だったと認めること――を条件にされたらしい。
1)については公益法人が内部で派閥を作るようなことがそもそも許されるわけがない。案の定、協会のスポークスマンは「そんな規定はない」とシラを切った。
しかし、7月26日の理事会で決めたことは認めたが、明文化はしていないという。そのことが公表されたのも昨日のことである。そして元貴乃花グループに所属していて無所属だった親方たち10人はこの「決定」に従い、それぞれ落ち着き先が決まったらしい。
そんな規定はないと言いつつ、実際にはそれが縛りになっているという奇妙な現実がそこには存在するのだ。
2)に関しては記者会見した貴乃花親方が「告発状は事実に基づいて提出したものであり、その後取り下げたとはいえその中身が事実無根であると認めることは私にはできない」と語っているように、協会としては全面降伏を求めている実態が明らかになった。
というか、貴乃花の性格として要求を受け入れることはないと踏んだ辞職強要であり、退職に追い込むための策謀ととらえるべきだろう。
協会スポークスマンはこの事実無根要求についても「そんなことをした事実はない」とシラを切っている。
こうやって見てくると、なんだかこれまでうんざりするくらい見せつけられてきた国会を舞台にしたやり取りの光景と二重写しになり、頭が混乱しかけて来た。
あのモリカケ問題に対するアベなんちゃらの否定がまさにそれにピッタリ当てはまる。
どんな証拠を突きつけたって「そんな事実はない」「記憶にない」「私は知らない」の一点張りで、何らの非も認めてこなかった。その挙句に公文書の改ざんを迫られた地方の役所の下僚役人が1人自殺に追い込まれ、ウソをつき通してアベなんちゃらをかばった高級官僚は大栄進を遂げるということが現実に起きてもいた。
自分たちと違った意見・考え方を持つ人間は徹底的に干し揚げ、組織から締め出して仲間外れにしてしまう。
それが嫌な連中ばかりが周りに集まってきて、しかも言いなりになって親分をほめそやす。周りで大勢がちやほやしてくれるのが嬉しくてたまらない親分はさらに好き勝手にやりたい放題、物事を進めていく。
まさに今のアベなんちゃらとそれを取り巻くおべっか使い野郎どもの図式と何ら変わるところが無い。
悪さをして追及を受けたって知らぬ存ぜぬで知らぬ顔の半兵衛を決め込めば、やがて時間切れで逃げ切れると思い込んでいるようなのだ。何せ国会の場でお手本が示されているのだから、分かりやすい。
かくして多分、日本中のあちこちでこういう図式が出来上がってきているのかもしれない。
一億総ウソツキ、一億総恥知らず、一億総無責任、一億総……
今の相撲協会に所属する理事や親方たちの大半は現役時代の若貴人気、わけても貴乃花人気におんぶに抱っこ、あるいは振り落とされないようにしがみついてまでして、実力以上に脚光も浴び、余得も手にしてきたんではなかったのか。
そんなことはコロっと忘れ、ろくに言い分を聞こうともせずに、ただ目先の利益だけのために平然とウソをつきながら右往左往する餓鬼の一群に成り下がってしまった。
こんなところがどうして公益法人なのか。
貴乃花親方にも何分かの非はあるのだろう。だが、それを差し引いたとしても、水に落ちた犬に向かってみんなで石をぶつけるような光景は見ていて気持ちの良いものではない。
現役の横綱の中にも協会と足並みをそろえようとする輩が1人いるが、奴のことは顔も見たくない。
いずれにしても、このままことが進むのであれば、ボクは金輪際、大相撲は見ない。
円覚寺の黄梅院では本堂の軒を越えて繁るキンモクセイが花を開きかけていて、辺りに甘い香りを漂わせ始めていた
=23日の彼岸の中日に撮影
夏の気配がすっかり消えてしまった=円覚寺。薄緑色の屋根は仏殿。茅葺屋根は選仏場
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