内陸の都市から魚の美味しい瀬戸内の町に越してきたというのに、姫は魚に手を出そうとしない。
昨夜も食卓に並んだ愛媛の海で獲れたサワラとタイの刺身には手をつけず、3歳の妹がどちらの刺身も美味しい美味しいとムシャムシャ食べるのを見てイラついていた。
それでもサワラの西京漬の切り身を焼いたものは文句も言わずに食べたから、根っからの魚嫌いというわけでもなさそうだ。
鎌倉に遊びにきた時にご飯の上に釜揚げシラスを乗せて出すと美味しいと行って食べている。
それとマグロがまずいと言っていた。
これは正しいことを言っていて、その辺のスーパーなどで売っているマグロの刺身は決して美味しいものではない。
それをズバリ指摘できる舌を持っているのだから、捨てたものではない。
姫よ、魚には脳の働きを活性化させたりするDHAやEPAという人間に欠かせない脂肪分が含まれていて体にいいんだぞ。
どうも食わず嫌いのところがあるのに加えて、やはり生まれてこのかたの内陸暮らしでは、美味しい魚にも恵まれてこなかったのだから舌が慣れていないのも仕方ないことか。
美味しいものがいつでも身近にあって出てくれば、いつの日かひょんなキッカケから魚大好き人間に転じる日も来ることだろう。
実を言えばボクだって子供のころは魚は嫌いだった。
メザシとかイワシの煮付けとか…戦後の食糧不足の時代だったとは言え、地獄だった。
アジの塩焼きはそれに比べるといくらかマシだったが、身のところをちょこっと食べるだけ。
それが今や…
運動会の振替休日で月曜と火曜日が休みの姫。
こういう景色のところに出かけた。
西条市の耳金砦跡という小高い山の上で南北朝時代に築かれた山城の跡だそうだが、江戸時代には既に壊されていたそうだから古い名残跡らしい。
白い塀はかつての山城の遺構を偲んで設置されたそうだ。
子供用の遊戯施設が揃っていて姫は妹君とはしゃぎまくっていた。この日は姫同様、他の小学校でも運動会の振替休日らしく、月曜日だというのに子供達で賑わっていた。
姫の暮らす新居浜もそうだが、海辺の街だという印象の一方ですぐそばに四国山地が迫っていて、意外な迫力がある。
鎌倉も同じように海と山が接近しているが、山の高さが違う。
四国山地といえば石鎚山だろうと思ってスマホの地図で確かめようとしたが、ピークがたくさんあってよく分からない。
で、子供を連れて遊びに来ていた同じ年恰好のご老体に聞くと親切に教えてくれて、てっぺんに見える左端のピークのうち一番高いのが1982mの天狗岳で次が1974mの弥山だそうで、これらのピークを総称したのを石鎚山と呼んでいるのだという。
石鎚山は近畿以西の西日本では最高峰だそうである。
瀬戸内地方ってのは海の印象が強いが、こういう光景を見ると山国だよなぁ。
ここの隣の今治市にあのモリカケのカケ学園がある。多分明日は近くを通ることになりそうだ。