世間が3連休でごった返していたころ、3日間ともどこにも出かけず閉じこもって庭仕事をしていたら、ナンテンの目立たない下の方の枝に真っ赤な実がついているのに気付いた。
わが家のナンテンはそこそこに大きな株に育っているのだが、青い実は眼にしても固まって真っ赤に色づく実を見ることはほとんどない。
例え見かけたとしても気が付くと消えてしまっていてがっかりさせられるのは鳥が食べてしまうからである。
同様に、マンリョウの株がいくつか生えているが、これだって正月を過ぎてもまだ赤い実が見られる年は極めてまれで、鳥の胃袋に消えてしまう。
何の鳥がついばんでいくのか犯行現場を直接見たわけではないが、乱暴者のヒヨドリ犯行説をボクは採る。
あいつがエサの少なくなる寒の頃、陽だまりに咲いていた黄色のパンジーの花びらを食いちぎっているのを何かの拍子に現認したことがあった。
怒ったボクは早速、鳥モチを買ってきて割りばしにたっぷり塗りつけたものを株の間に数本立て置いたところ、翌早朝の庭からけたたましい鳥の鳴き声がして現場に駆けつけて見ると辺り一面に羽が散乱していて、あくる日からパンジーの被害はぴたりと止んでボクはほくそ笑んだのだった。
何も知らないヒヨ公がパンジーの株間に舞い降りて甘い花びらをついばもうと体を動かした途端、何本かの鳥モチ付き割りばしに触れたのだから奴らにとっては青天の霹靂だったろう。
わめいて暴れれば暴れるほどベタベタと体中の羽にくっついて…
あのかん高い鳴き声の持ち主のヒヨドリの悲鳴だから、そのけたたましさは推して知るべし。
以来パンジーの食害ゼロが続いているというのはDNAというのもが子々孫々に受け継がれていく何よりの証拠である。
ですよね、ダーウィン先生。
冬枯れの庭の赤い実って、小さくたって目立つものである。
寒さの中の希望のともし火と言ったら大袈裟にしても、あるとないとでは大違い。
この赤い実、今シーズンはいつまで庭の一隅をポッと照らし続けてくれることか。
暖かい日々が続いたが、これから平年に戻るのだという。連休最終日の午後から続く曇り空は昨日も続き、今日も続くという。
関東地方に北東の風が吹き込むとこういう陰陰滅滅とした日になる。
こういう日もまた赤い実は1点のともし火たりうる役目を果たしてくれることだろう。
それはそれでありがたいが、赤い実がより光り輝くのは何てったって太陽の光が当たった時なんだよな。