だから北国の海産物を安く食べさせる店が立ち並んでいる辺りに行くと、竜宮城もかくやと思わせるほどに新鮮で透き通ったイカソウメンが妖しく誘い、テンコが盛りされたウニ丼がドーンと目の前でタンゴを踊り出すのだから、これはもうこの世のものとは思われぬ。しかも、全部食べてもそこそこの値段で済むのだからキンキジャクヤクものなのだ。
目の前に広がるわが相模湾には多種多様な海中生物がいて、そこそこに豊かな漁場を形成しているのだが、ウニはどう逆立ちしても北の海にはかなわない。
ムラサキウニというのが生息しているのだが、こいつらは海藻類を食い荒らして「磯焼け」を起こすだけで、身が成長しないんだそうである。
おまけにワカメやコンブなどが食い荒らされてしまうからアワビやサザエが獲れなくなり、サンゴモと呼ばれる硬い殻のような海藻が岩の表面を覆いつくして不毛の海に変えてしまうんだそうな。これが「磯焼け」だという。
だから相模湾ではムラサキウニは駆除対象なんだそうである。
ところがどっこい、驚くなかれ! 三浦半島の特産キャベツを食べさせて養殖すると6月から7月にかけて身入りの良いおいしいウニができることが分かったんだそうである。
しかも、市場に出荷される立派なキャベツではなくて、けっこう大量に出てその処理が問題になっている割れたり見てくれが良くなくて売り物にならない屑キャベツを与えればいいんだそうで、これぞ一石数鳥ではないかという訳である。
ノーベル賞が無理というなら〝食~べる賞”くらい上げてもいいんじゃないか。そんなのない? なければ新しく作ればいいじゃん。
たまたま、神奈川県水産技術センターのホームページを覗いていたら、新たな研究成果として紹介されていたんである。
記者発表資料になっていたから、担当の研究員も鼻息荒く資料を作成したんだと思われるが、今のところ新聞では見かけないから無視されたんだろう。
がっかりするなよ、ちゃんとボクが気づいたよ、と担当の研究者に言いたい、励ましたい。
この研究成果を引っ提げて、水産技術センターと油壷マリンパークがキャベツの与え方や高密度での飼育方法、そして県立海洋科学高校が餌として利用できる野菜の種類について、それぞれ技術開発に取り組むんだそうである。
3、4年後くらいに江の島とか三浦半島沿いのレストランとかメシ屋に行けばテンコ盛りのムラサキウニ丼が食べられるかもしれない。
キャベジン成分を含んでいるかもしれないし、ちょっと楽しみでありますな。
3年生になった孫娘の姫もすし屋に行けばウニなんである。大好物なのだ。
ところで、水産技術センターのホームページを覗いたのは、シラスの不漁が続いているようなので何か理由を解説していないか確かめようとしたのだが、見つからなかった。
3月11日に解禁されたのだが、まだ1度も生シラスを口にしていない。
例年5月の連休頃までは不漁のことが多いから、例年並みと言えばそれまでだが、早く初物を口にしてみたいという気持ちは募るのである。
日本酒はもう用意してあるんだけれどねぇ。
サクラが散ったと思ったら、あたりは圧倒的な新緑が日に輝いて実に旺盛な生命力を感じさせている。円覚寺境内(上)、円覚寺から梶原へ抜ける道すがら(中)、近所のケヤキ(下)
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