クロケシツブチョッキリ…
別名をバラゾウムシという。
この人を食ったような名前の持ち主こそバラ愛好家の天敵、憎っくきバラの害虫なのである。
何が悲しいかって、何が悔しいかって、こいつは新しい葉っぱの付け根や、あろうことか膨らみ始めたつぼみの付け根にもゾウの鼻のような口先を突き刺して中の養分を吸ってしまうからたまらない。
こいつの口先を突っ込まれた新葉やツボミは、哀れ成長できずに葉はチリチリになって垂れ下がり、ツボミは花を咲かせることなくクタッと首を垂れて枯れてしまう。
今年は春が思いのほか早くやってきた。
お陰でバラたちの目ざめは早く、例年より1週間から10日も早く葉を茂らせはじめ、多くの種類でつぼみも出来始めている。
先日行った横浜イングリッシュガーデンでも同様で、このままではゴールデンウイークよりずっと前に開花してしまい、盛りのピークがずれてしまいかねず、楽しみにしているお客さんが戸惑いかねないと、今できつつあるツボミの2割ほどを間引いて開花調整を始めると言っていた。
わが家では開花調整などせず、自然の成り行きに任せようと思うが、それに伴ってクロケシツブチョッキリとの戦いも前倒しが確実になった。
一方で、去年の長梅雨と梅雨明け後の猛暑でこれまでほとんど被害のなかった黒星病やうどん粉病が蔓延してしまい、だいぶ株が弱ってしまっている。
農薬は使いたくないので、植物由来の人畜に全く無害の噴霧液を2度散布して対策に入り、今後も10日おきくらいに散布しようと思っている。
その矢先の憎っくき天敵の出現なのだ。
これぞ前門の虎、後門の狼である。
しかし、この散布液は奴らには何の影響もおよぼさない。
従って今のところ、見つけ出して捕まえ、天罰を与えるしかないのがもどかしいが、これがなかなか見つけずらいときている。
被害は拡大しつつあり、2階のベランダでは去年挿し木に成功して成長中のブラッシング・アイスバーグの初々しい株の小さなつぼみがやられるのを見るに及んで、心がチクチクと痛んでいる。
奴らの退治に効果があるという殺虫剤がホームセンターなどで大々的に売られている。
使うべきか、使わざるべきか…
無農薬の看板を一時的に布で覆って隠してでも、最小限度の緊急使用ならアリかも…という考えがチラリと頭をよぎる。
あぁ、悩ましい。
ツボミの周りの葉がちりちりにされて垂れさがっている 次はつぼみかと恐怖である
(見出し写真は「空蝉」のツボミ 4月の半ばには開花してしまいそう)