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平方録

生き残った生物季節観測と〝苗のなる苗〟 !?

ホームセンターの園芸コーナーにトマトの苗が大量に並んでいるのを見て、絶句した。
まだ3月だぜ !と思ったのだ。
トマトってのは夏の野菜だろ?
少なくともボクが体内に備えている生物季節カレンダーには、そう記されている。
だから、そろそろ苗の準備をしなくちゃな、という意識が働くのは大型連休前ころで、このころになると南寄りの薫風ってやつが吹き出して広い庭を持つ旧家の庭には鯉のぼりが気持ちよさそうに泳ぎ、矢羽根がカラカラと軽快な音を立てて回るのを目にするころでもある。

今、この苗を買って帰って植え付ければ大型連休ころには収穫できちまうんじゃないか?
確かに5月は季節区分で言えば夏だけどさ。
まだ初夏だよ。ボクの知るトマトってのは盛夏の野菜のイメージなんだ。
だから冷水に冷やして食べると美味しいんだろ?

そう思いつつずらりと並べられた苗の中から「めちゃなりトゥインクル ぶどうのようにたくさん実る」という宣伝文句のミニトマトを1苗だけ買った。
外国のケチャップメーカーが販売しているブランド苗で、何と1本327円もする。
こいつを植えて次から次に出てくる脇芽を掻き、掻いた脇芽をそのまま土に挿しておけばほぼ100%の確率で根付くから、ガマの油売りじゃないけれど、1本が2本、2本が4本、4本が…という具合にどんどん増やせる ♪
脇芽じゃなくたって、枝葉の先っちょでも可能だから1本が3本、3本が9本、9本が…なんてことも可能だ。
つまりボクはたくさんの実がなる苗と一緒に‶苗のなる苗〟を手に入れたってわけさ ♪

わが家の2階の窓からは近所の寺の裏山が見渡せ、そこにオレンジ色のツツジがもう咲き始め、庭園になっている山肌の一部が既に染まり始めているのを見つけてびっくりした。
ボクの生物季節カレンダーではツツジは初夏に分類されているからね。
わが家の庭に目を転じればジューンベリーの白い花が満開になっている。
ジューンベリーってくらいだから6月の花のはずだが、もう訳が分からない。
まぁ、日本に来てからはソメイさん家のヨシノさんが咲いた直後に負けじと妍を競うかのように花開くので、ソメイさん次第みたいなんだけどさ。

ボクは齢うん十年を重ねてきて、最近つくづく感じるのはMY生物季節カレンダーのズレの大きさ。
ボク自身が時代遅れになって来たことによる世間とのズレってのも確かにありそうだが、それは別な話だ。
それとこれとは次元も話もまったく別もんだよ。

話は飛ぶが、気象庁は昨年秋に突如、2021年度から生物季節観測を見直して動物の観測を止め、植物も「ソメイヨシノの開花日」は残しても、その他は大幅に縮小すると発表した。
ウグイスの初鳴きもホトトギスの初鳴きも、ツバメが飛んできたって雁が渡って来たって「オラ知らねぇ~よ」って、知らぬ顔の半兵衛を決め込むって宣言さ。
何をトチ狂っちまったのさ…と呆れ果て、いつから人間は地球の自然の一部じゃなくなっちまったんだい、偉っらそうに…と嘆いたものだった。

それが一昨日の30日、前言を撤回したんだよ、これが。
気象庁の発表資料に曰く「生態環境の変化や気候変動の生態系への影響把握、身近な生物の観察を通じた四季の変化や生物への関心を高める活動等、『生物季節観測』の発展的な活用に向けて、気象庁、環境省、国立環境研究所が連携した試行的な調査を開始します」。

やっぱり心ある人間が残っていたんだねぇ ♪
宇宙船・地球号に乗り組んでいるのはニンゲンだけじゃないんだからさ。
そうそう。ボクだってウグイスやホトトギスの初鳴きの確認だったらお手伝いできますよ。毎年やってるし。
アブラゼミとかヒグラシの初鳴日なんてのもOKだよ ♪



昨日もまた黄砂の影響で遠景はかすんでしまっていたけれど、波打ち際には歓声が響いていましたよ=湘南・片瀬西浜





「めちゃなりトゥインクル ぶどうのようにたくさん実る」ミニトマト

「ヨシノさんに負けちゃいられないわ」とミス?ジューンベリー

もう満開 !? 実が収穫できるのが6月ってことですかね
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