満を持して紅葉を見に行ってきた先週の北鎌倉・明月院が大いに期待外れでがっかりさせられたが、ここ2、3日気温が下がって来たので、もしやという気になったのだ。
鎌倉には寺社以外に隠れた紅葉の名所がある。
その名も「獅子舞の谷」。
戦後すぐだったか、戦前だったか忘れたが、植物学者か何かがこの谷戸に分け入ってイチョウとモミジを植える計画を立て、それが今に伝わっているといういわれを聞いたことがある。
つまり人工林なのだが、小さな流れを遡り、深山幽谷の趣のある谷筋を遡っていくとそこには金糸銀糸が織り成す錦秋の世界が広がって、アッと息をのむほど見事な世界が広がっていたのに出くわして驚いたものだった。
今からもう30年か40年も前の話だ。
あの時は鎌倉の街の北側を屏風のように取り囲んで連なる尾根に沿って伸びる天園ハイキングコースをたどっていて、たまたま瑞泉寺に近道しようと尾根を下って行ったところ、その錦秋の只中に飛び込んでしまったのだった。
あの時のイチョウの黄色とモミジの赤の重なりはホントに衝撃的だった。
こんな場所が鎌倉にあったんだ…
しかしその後、毎年という訳にはいかなかったが、何年かに1度訪れる獅子舞の谷で2頭の獅子が絡み合って踊る姿はついぞお目にかかれたことがない。
第一、あの時のように「一緒に色づく」のではなく、イチョウが先に色づいてあらかた散ってしまった後にモミジがようやく色づくという具合に、時期がずれるようになってしまった。
理由は分からないが、これも温暖化の影響じゃないかとにらんでいる。
今回もだった。
足元に積もるイチョウの葉は散ったばかりの瑞々しさなどゼロで、散ってから随分と時間が経ったように色は褪せ、踏みつけられて見る影もない。
一方でモミジだって色づき始めているのはほんのわずか。
大半は我関せずみたいに青々と葉を茂られているのだからがっかりさせられる。
こんなことでは年末まで待ちぼうけを食らわせられそうである。
多くのブログ氏が京都や日光の見事な色づきを伝えてくれているのを横目で見るにつけ、ヨシッ、鎌倉発も!と意気込んだのだが当てが外れてしまった。
今年の南関東は10月が比較的温度が低く、11月に入ると一転して暖かな日々が続いたから致し方ないのかもしれない。
それにしても30~40年前の「あの光景」は幻だったんだろうか。
鎌倉宮の脇を通ってまっすぐ北上すると橋のたもとで道が分かれ、標識が立っている
橋の手前を左に折れたすぐ左手に広がるのが頼朝が建立してその後姿を消した永福寺跡が数十年の発掘調査を経て姿を現した
宇治の平等院を模したとされる3連の建物だったらしく、基盤が3つ土中から現れ、史跡公園として整備されている
永福寺を後に小さな流れに沿って谷戸の奥へ進んでいくとこういう光景が現れる
いかにも深山幽谷の入り口らしい佇まい
耳をそばだてるとちょろちょろと水音が…
ドンドン上っていくとイチョウとモミジが増えてくる
この獅子舞の谷のハイライトがこの景色
イチョウがスックと天を衝く脇でモミジが重なり合うように枝を広げているから同時に色づくと、その折り重なり具合は正に錦秋そのもので見事なのだが…
このモミジだけが色づいていた
イチョウは既にほとんどの葉を散らしてしまっている
イチョウの落ち葉もすっかりくたびれてしまって…
色づきを期待してのことだろう、この日は人が多かった
紅葉?ナニそれ
緑の葉はモミジ