よしんばその空気が冷たいもので、身体の表面から容赦なく熱を奪っていく類のものであったとしても、真冬のそれとは明らかに違っていて、一種のフレンドリーさというのか、それほど極端に身構える必要のないものに変わっているような気がする。
日中一杯、8歳の姫と1歳になったばかりの妹君と一緒に北関東の街の郊外に広がる「わんぱく公園」という、東京ドーム10個分の敷地に広々とした芝生と雑木林の広がる場所で過ごしたのだが、暖かいわが海辺の街と比べてずいぶん北に位置していても、時折吹き渡る風にちょこっと冬を感じさせられた程度で、家族連れが芝生の上でお弁当を広げる姿があちらこちらに見られ、冬将軍の主力部隊は間違いなく撤退を始めていることを実感させられる。
だから、地中深く冬眠していた虫と一緒で、人間も家の中から広々とした気持ち良い空間にぞろぞろと這い出てくるのだ。
春とはそういう季節なのである。
元来子供の成長というものは速いものなのだが、親の欲目などというフィルターからは離れたところに位置する孫ともなると、客観的な視点というものも加わると見えて、その成長ぶりに時々びっくりさせられるのである。
テニススクールに通っている姫のお相手をしてラケットを振ったが、ちゃんとラリーができるようになってきていたし、水泳教室では背泳ぎで25メートルが泳げるようになり、息継ぎができないと言っていたが、クロールでも25メートル近くは泳げるようになったらしい。
公園の一角に科学館のような、簡単な科学の知識を学べる施設があって、そこでも驚かされたのがレーザー光線を使った遊びの腕前である。
簡単に言えば、レーザービームを発射して動き回る的を射る遊びだが、そう簡単ではない。
実際にやってみたボクの腕前は惨憺たるものだったが、姫はこれまでの最高記録だと電光表示されていた得点を大幅に上回る高得点を挙げて、電光掲示板の最上位に得点を輝かせたのである。
正直言ってこれには驚いた。
「レーザーを動かしたらダメなんだよ。構えているところに目標が来たら撃つんだよ! そうやったんだよ‼ 」と興奮気味に解説してくれたが、脱帽である。3回目の挑戦で出した高得点のようだが、知恵がついたとしか思えない。
家に戻って晩ご飯までのひと時、オセロをやろうというリクエストに応えたところ、4連敗もしてしまった。
どうやらオセロには自信があるらしく、前の日に挑戦してきたので相手をしてやって逆転勝ちをしたらすっかりしょげてしまって、1度きりしかやらなかったのだが、再挑戦の2日目は目覚ましかった。
別にすっかり手を抜いていたというわけでもないのだが、今度はこちらが大逆転を食らうばかりなのである。
これまでの姫はあまり考えもせず、目先にだけ囚われて後のことに注意が回らなかったのだが、2年生も終わりに近づき、4月からは3年生になるからからか、すっかり考える力もついたようで、あれこれ検討したうえで次の一手を打ってくるのである。
それが、なるほどと思わせるところにちゃんと打てている。
子供の成長とは恐ろしいものだなぁ、とつくづく感心させられたのである。
「春休みにはジイジのお家に遊びに行くから、オセロを買ってバアバと練習しておきなさい」と命令されたのである。
かしこまって従おうと思う。
北関東のわんぱく公園ではクロッカスが群生していた
啓蟄に人間も誘われて家から這い出てきたようである
レーザービーム遊びのダントツ860点獲得を示す電光掲示
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