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過去20年、中国は南シナ海で「戦わずして勝つ」という、孫子の兵法の戦略をとっていた。しかし、米国が世界の指導的地位を放棄した混乱のなかで大胆になり、攻撃的な姿勢を強めようとしている。4月初めには中国海警局の船艇がベトナムの漁船に体当たりして沈没させた。米海軍に対する圧力も強め、南シナ海やグアム島沖の海域で、艦船や哨戒機に対し異常に接近したり、軍事用レーザーを照射したり、といった行為を繰り返している。一方で、中国は新型コロナの封じ込めに比較的成功し、経済活動を急速に再開している。こうした状況を考えると、南シナ海の周辺国に対し経済力やソフトパワーによるインセンティブを提供することもあるだろう。
中国はその海岸線から、同国が南シナ海に独自に設定した「九段線」と呼ぶ境界線まで主権が及ぶと主張している。この海域には石油や天然ガスが豊富に埋蔵されている。このことは国際的にも大きな意味を持つ。この海域での主権を巡っては、ベトナムやフィリピンなどの沿岸国が中国の主張に反発し、国際仲裁裁判所も中国の主権を認めなかった。にもかかわらず、中国は一貫して領有権を主張し続けている。米国は、中国の主権の主張と、領有権を争う海域での人工島造成に異議を唱えるため、「航行の自由」作戦を展開してきた。しかし、中国は積極的に外洋艦隊を拡大し、「空母キラー」の異名を持つ弾道ミサイルも配備しているという。また海洋開発技術も強化してきた。これらの行動を通して中国は、米国に対抗できるという自信を持った。
こうした戦略をより攻撃的にしているのは中国の内政を巡る課題だ。習近平(シー・ジンピン)国家主席は、権力基盤を一段と強固なものにしようとしている。そのためには拡大を続ける中間層を満足させておく必要があるが、経済が減速しているなかでは別のスローガンが必要になる。このため、南シナ海を巡ってナショナリズム的な論調を強める可能性がある。
(中略)
孫子は忍耐強い勝利を主張したが、「好機」での積極果敢な行動も重要だと言っている。中国は、南シナ海でまさにそれを実践しているようにみえる。(*日経記事より)写真:James Stavridis 元米海軍大将。2009~13年北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍最高司令官。米タフツ大フレッチャー法律外交大学院長を経て、カーライル・グループ所属。
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