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韓国ドラマ「青い海の伝説」第2話⑪
Korean Drama "Legend of the Blue Sea" Episode 2 ⑪
第2話⑩…
女はジュンジェを連れて迷路の外へ出てきた。目の先に乗ってきた自転車も見える。
ジュンジェは感心した。
「よく出口がわかったな。やるじゃないか同志」
褒められて女は嬉しそうにした。
ジュンジェは髪にしがみついた木の葉を取ってやった。
★★★
ジュンジェは女の思いやりの深さに、女はジュンジェが無事だった嬉しさで好感を寄せ合った。
「行こう」
ジュンジェは女の手を取った。倒れて自転車の方へ歩きだす。
女は素直に従う。
2人は自転車に乗って町中の見学とサイクリングを楽しんだ。
凱旋門そばの広場は屋台がたくさん出ている。
女はアイスクリームの屋台に目を奪われ、ひょいと後部席からおりる。ジュンジェはそのまま走っていってしまう。
ジュンジェは気付いて自転車を止める。女がどうするのか腕を組んで眺める。
女は差し出されるアイスクリームを黙って受け取る。
「5ユーロです」
代価の請求を無視して行こうとするので店員は身を乗り出して女の腕を叩く。
「ちょっと待て。金を払ってくれ」
ジュンジェは微笑ましい目を送っているが、店員の荒々しい態度に
腹を立てる。
「何て乱暴なやつなんだ」
駆けつけて女をの前に立つ。
「いくらだ!」
「5ユーロです」
ジュンジェは払おうとズボンのポケットに手を入れる。小銭を取り出すが手持ちは心もとない。
「ミニサイズはありませんか?」
店員は呆れる。
「いや、何でもない」
金を何とか払うと店員は二人を追い立てる。
「さっさと行ってくれ」
女にアイスクリームを食べさせている間、ジュンジェは公衆電話から知り合いに電話を入れる。
「ああ、俺だ…聞いたよ。今、シッチェスで儲けているらしいな。実は近くに来てるんだ」
どうした、と相手は訊ねてくる。
「じつは今、金がない上、ケータイも使えないでいるんだ…本当か? 助かるよ。で、どこに行けばいい? …どこだって?」
二人が向かったのは海のそばに立つ立派な教会だった。
ドアを開けて中に入ると、若い男がが待ってたとばかりジュンジェたちに話しかけてくる。
「ホ・ノアさんでは?」
別人の名を呼びかけられて、ジュンジェは戸惑う。誰かいるのか、と後ろを見るが他に誰もいない。
男に手を上げられ、ジュンジェもとっさに手をあげた。
「ハレルヤ」
男も「ハレルヤ」と返してくる。
この男もジュンジェと別行動で稼いでいる詐欺師らしい。
2人は歩み寄り、笑顔と抱擁で親しさを交わしあった。
「久しぶりですね」
ジュンジェは男に話を合わせる。
「リビア以来ですから、2年ぶりになりますか」
男はうんうんと頷き、集まってもらっていた人たちの方を振り返る。ジュンジェを紹介する。
「彼は各地を伝道で回っておられるホ・ノアさんです」
男の話に年配の人たちは興味を示す。歩み寄ってきた。
「今はケニアで慈善活動をしておられます」
信仰心の厚い人たちは顔を見合わせ、感心した表情になる。
「それはご立派なことを…」
集まりのリーダー格らしい人物が両手を重ねてジュンジェに好意を見せた。
ジュンジェも重ねた両手を胸にもってきた。軽く頭を下げた。
「いえいえ、感謝の心をもって精一杯ご奉仕させていただいております」
舌がもつれそうで似つかわしくない言葉を口からすらすらと並べ立てる。
しかし、その言葉の一方、みんなはそばに立っている女に違和感を覚え出したようである。
ジュンジェはそれに気付いた。
「ああ…」
ジュンジェは女の手を両手で包んだ。
「私のワイフです」
みなを見回し、心持ち暗い表情で女に目をやった。
「数年前の事故以来、言葉を話せなくなってしまったのです…」
「まあ、何てことでしょう…」
後ろのかたまりから次々と同情の声がもれた。
「神よ」
ジュンジェの友人は目をつぶった。その顔を天に向けた。
ジュンジェも目をつぶり、口調に嘆きをこめる。
「事故のショックが大きかったようです。いつになればその声が聞けるのか…」
自分を言語障害にされては今後何も話せなくなる。
女は軽く笑みを覗かせて口を開く。
「こんにちは。お初にお目にかかります。今日は暑いですね」
そう言っていたずらっぽい目を天に向ける。
周囲の人たちはきょとんとなった。
彼らの心ではカラスが「カアカア」と鳴いて飛び回った。
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