雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載69)




韓国ドラマ「30だけど17です」(連載69)



「30だけど17です」第8話(13年前の少女)③


☆主なキャスト&登場人物


○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)


★★★ 

 髪を少しいじり、自分を着飾ったソリは玄関の外に出てきた。帰りの遅いコン・ウジンが気になったからだった。
 そうして今か、今かとウジンの帰りを待っていると、チャンから声がかかった。
「おばさん!」
 チャンに気づいてソリは手を振った。
 チャンは笑顔でソリのもとに駆け寄った。
「ひょっとして俺を待ってた?」
 ソリは少しはにかみ、通りの向こうに目を走らせた。
「もう〜、ネットなら勝手にやってていいのに…あれ?」
 チャンはソリの姿にあらためて見入った。
「今日はすごく可愛い。どうして?」
 ソリははにかみ、耳の後ろに手をやった。
 まさか、こうして着飾って”ウジンの帰りを待っている”とは言えない。
「写真を撮りましょう」
 何も知らないチャンはソリをせっついてポケットから携帯を取り出した。
「ダメよ、やめて」
 しかし、チャンの行動は始めたら止まらない。
「さあ、レンズを見て。一二の〜」
「ダメだって」
 しかしシャッターは切られた。
「お〜、よく撮れた」
 チャンは画像をソリに見せた。
「良く撮れたでしょ?」
「そうですね〜」
 調子を合わせてソリはまた通りの向こうを気にした。
「ああ、腹ペコだ。ご飯を食べよう」
 チャンは携帯をしまって玄関に向かう。
「そうだ。面白い冷麺の店があって生きたタコが…」
 そう言ってチャンはソリを見た。
 自分の話を聞きながらついて来るとばかり思ってたソリは、無頓着に通りの向こうに目をやっている。
「おばさん、中に入らないの?」 
「はい? ああ〜」
 ソリはちらとまた遠くに目を走らせた。
「入ります」
 ソリはやむなくチャンに続いて家の中に入っていった。

★★★


 陸橋の上にいたウ・ソリのしぐさに、ウジンは忌まわしい事故の記憶を触発された。13年前、あの陸橋の上で同じようなしぐさを見せた少女の姿が重なったからだった。
 彼女はノ・スミと友達から呼ばれていた。通学帰りに時々見かけ、いつしか好意を覚えるようになっていた。
 そうしてバスの中でやっと言葉を交わした日、彼女はバスの追突事故に巻き込まれ、永遠に帰らぬ子となってしまった。
 自分の伝えた言葉が徒となって…。
 彼女の死は辛い現実だった。葬儀会場に出向いたウジンは、会場の入り口で泣きくれる同級生らの姿を見た。
 ウジンは会場内に入って彼女の遺影を見る勇気が持てなかった。
 ノ・スミの父親に声をかけられたウジンは目を返せなかった。
 自分があんなことを言わなければ…ウジンはいたたまれなくなって背を返した。、そのまま家に走り返った。
 ”ノ・スミ”の事故死はウジンにとってあまりに大きな苦痛だった。自分のひと言が彼女を死に追いやったかと思うと猶更だった。
 そうしてウジンは彼女と事故の記憶を封印するため、ドイツへの留学を決意した。
 これからは、人とのかかわりも友も極力持たないで生きて行こう、と。


 朝がやってきた。
 夜、遅くまでウジンは帰ってこなかった。
 ソリは急いで階段をかけあがった。ウジンの部屋をノックした。しかし返事はない。
 後ろで声がかかった。ジェニファーだった。
「ミスター・コンは深夜に帰宅し、早朝、また出かけました」
「そうでしたか…」
 ジェニファーは引き下がった。
 そこに立ったままソリは呟く。
「仕事が忙しいのね…」
 気になって部屋のドアを押し開く。
 ”天窓専用”と書かれたラバーカップは同じ場所にぶら下がっている。
「お礼を言いたいんだけど…」


 ウジンは昔世話になった精神科医を部屋に訪ねた。
 ウジンを見て、精神科医のユ・ジュンソンは軽くため息をついた。


 ユ・ジュンソンはウジンを見て、2005年時の彼を思い浮かべた。
 そして、あの時と同じ表情だ、と思った。


「君がウジン君だね。話は聞いてるよ」
「…」
「私は君のお姉さんと親しいんだ。ベルリンには何度か来てるとか…私とは初対面だね」
「…」
 何も答えないウジンにユ・ジュンソンは苦笑した。何から始めるべきか…。
「聞いてるよ。絵が得意なんだろ?」
「…」
 ユ・ジュンソンは言った。
「私に教えてくれないか?」
 ウジンはようやく顔を上げた。


 ユ・ジュンソンを前にウジンは切り出した。
「うまく隠せてきたと思っていたのに…忘れかけていたのにまた思い出したんです」
「…」
「彼女が現れてから」
 ユ・ジュンソンは小さく頷いた。
「当時と似たような状況に置かれただろう。それが引き金となり、フラッシュバックが起きた」
「…」
「彼女との関連性については、現状では断定できない」
「2回とも彼女と一緒の時でした。― 13年ぶりに事故の記憶が蘇ったのも、死んだあの子のことを思い出したのも」
 ユ・ジュンソンは冷静に分析した。
「彼女と一緒でなくても、13年前の事故を連想させる音や状況により、フラッシュバックは起きる。まるで現実に起きているかのように」
 ウジンはソリの姿とあの時”ノ・スミ”のリュックについていた鈴の音を思い出した。
「もし歩道橋に別の女性を見かけたとしても、過去の記憶と重なり、同じ状況を招いたかもしれない」
「…」
「彼女とは今後も会うのかな?」
 ウジンは首を横に振った。
「いえ、そういうわけではありません」
「うむ。難しいだろうが、避けるのではなく別人だと認識する努力が必要だ」
「…」
「たとえば、13年前の少女と異なる面を見つけるとか…好きな食べ物、放し方、表情、習慣など―具体的な違いを見つけて、ありのままを受け入れる」
「ありのままを受け入れる…」
 ウジンはユ・ジュンソンを見た。
「また、フラッシュバックが起きたらどうすれば…?」
 ユ・ジュンソンはしばし考えた。頷くようにウジンを見つめ返した。
「一番落ち着く場所を頭に思い浮かべて―ゆっくり深呼吸しなさい」
「…」
「心地よく幸せな経験を思い出すのもいい」
「心地よく幸せな経験…」
 ウジンは記憶の中に深く分け入った。




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