雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載165)





韓国ドラマ「30だけど17です」(連載165)




「30だけど17です」第19話(愛の告白)⑤


☆主なキャスト&登場人物

○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)
★★★

「2番手のユ・チャン選手が―どんどん追い上げる。トップに迫る勢いです ― 上位2人の差は徐々に縮まっています ― チョン・ジヌン選手とユ・チャン選手は接戦です 2人は並んだ。ユ・チャン選手がトップに追いつきました」


 ソリは両手を合わせ、目をつぶった。
 双眼鏡を向けながらウジンも叫んだ。
「チャン、行け!」


「両者、一歩も譲りません。― 両者、並んでラインを通過しました。ほぼ、同時のゴールインです」


 ソリは叫んだ。
「追いついた。同着よ」

「どっちが勝ったんだ?」とドクス達。

「審判の判定が待たれます〜」

 場内が静まり返る中、結果が発表された。
「1位はテサン高、7分6秒69」

 ソリははしゃいだ。手を叩いた。
「おじさん、1位よ」

 ウ・チャンは天に向けて息をついた。チョン・ジヌンはうな垂れた。

「よかったね、おじさん」
 見るとウジンの様子はおかしい。
 なぜか、涙ぐんでいる。
「どうしたの」ソリは声かけた。「泣いてるの?」
 グスンとなったウジンはソリに言葉を返せなかった。
「おじさん…」

 チャンはやり切った表情を浮かべた。笑顔の花を咲かせた。
 その時、足の痛みも戻ってきた。
 苦痛で顔を歪ませながらチャンは安堵の声をもらす。
「痛み止めを飲んでおいてよかった…」

★★★


 優勝者のアナウンスが場内に流れた。


― 第15回ボート競技大会個人戦の優勝者は―テサン高等学校のユ:チャン選手です。


 コーチはチャンに向けて親指を突き出す。
「チャン、よくやった」
 チャンは拳を突き上げ、空に向かって吠えた。


 表彰式を終えたチャンのもとにウジンたちが駆けつけた。
 ソリに向かってチャンは訊ねた。
「僕のレース、見てくれた?」
「見た見た。最高にカッコよかった」
 ソリは全身で感激を表しながら、花束を差し出した。
「おめでとう」
 ウジンもチャンの肩を叩いた。
「よくやった」
 ソリはウジンにも聞こえるような小さな声でささやく。
「おじさん〜、泣いたのよ」
 ウジンは怖い顔をソリに向ける。
「誰が泣いた、って〜?」
 ソリは困ってチャンを見る。
 ウジンは言った。
「ともかくお祝いをしよう」
「ありがたいけど」チャンはウジンを見た。「今日は忙しいんだ。別の日にしよう」
 横からソリがいう。
「私の携帯で記念写真を…」
 バッグに手を入れたソリはあっと声をもらす。
「手帳がない…生花店だわ。探して来る、待ってて」
 とっさにウジンが引き留める。
 応援用の手持ちパネルをソリに持たせた。
「僕が行くから写真撮ってて」
 2人に言い残して走り出す。
「私が行くのに…」
 ソリの言葉も聞かずに行ってしまった。
 チャンはソリに笑顔を向けた。
 ソリははにかみを返す。
 そこにドクスらが姿を見せた。
「コーチが呼んでるぞ」
「分かった。今行く」
 チャンはそう答えてソリを見た。
「夜7時に公園で会いましょう」
「あれ? 今日は忙しいって、さっき…」
「約束が理由です。じゃあ」
 チャンはドクスたちの後を追う。少し走って振り返る。
 振り返ったチャンにソリは笑顔を向ける。
 手を振ってソリはウジンの後を追った。
 ソリを見て少し考え、チャンも背を返した。


 ミヒャンは手帳を持ってソリを捜して歩いた。急いで捜していても後ろめたい感情も引きずっている。
 女子高生らと接触したミヒャンはたわいなく転んでしまった。
 方向もわからず起き上がろうとしてるところに駆けつけたのはウジンだった。腕を取りながら声をかける。
「大丈夫ですか?」 
 ミヒャンは頷いて立ちあがった。手についた土を払った。
 ウジンはそばに落ちている手帳を拾い上げた。すぐにソリの手帳と気づく。
「これは…?」
 ウジンは相手を見た。
「知人の手帳です」
「…」
「もしや生花店の方…」
 その時、遠くでソリの声がした。
 ソリに気付いてミヒャンは背を返した。そのまま黙って走り出す。
「ま、待って」
 ウジンは慌てて呼び止めようとした。しかし彼女は振り返りもせずに走り去った。
 ウジンは不思議な気分にさせられながら彼女の後姿を目で追った。
 そこにソリがやってきた。手元を見て言った。
「それ、私の手帳?」
 ウジンは頷く。
「今、生花店の人が届けてくれた」
 ソリは手帳を手にする。
「戻ってよかったわ」
「…」
「でも、電話番号を書いておいたのに…」
 ソリはウジンを見た。
「でも、なぜここだと?」
 ウジンは黙って女性の走り去った方角に目をやった。
 もしや、あの人が例の…?
 
 ウジンたちは車で帰宅した。
 車から降りようとするソリにウジンは言った。
「人に会うから先に戻ってて」
 ソリは頷いて車から降りた。走り去るウジンの車を見送った。


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