韓国ドラマ「30だけど17です」（連載181）
「30だけど17です」第21話（そばにいる資格）③
☆主なキャスト＆登場人物
○シン・ヘソン➡（ウ・ソリ）
○ヤン・セジョン➡（コン・ウジン）
○アン・ヒュソプ➡（ユ・チャン）
○イエ・ジウォン➡（ジェニファー（ファン・ミジョン）
○チョ・ヒョンシク➡（ハン・ドクス）
○イ・ドヒョン➡（トン・ヘボム）
○チョン・ユジン➡（カン・ヒス）
○ユン・ソヌ➡（キム・ヒョンテ）
○チョ・ユジョン（イ・リアン）
○ワン・ジウォン（リン・キム）
○アン・スギョン（チン・ヒョン）
★★★
叔父さんはどこを捜してもいない。チャンは焦った。うろたえた。
「こんな朝早くからどこへ…」
チャンはぼやきながらウジンを捜しまわる。
外へ出て行こうとしたところにソリが駆け込んできた。
デッサン用紙を手にしている。
チャンには目もくれず中へ走りこんでいく。
チャンは後ろから呼び止める。
振り返ったソリに歩み寄った。
「なぜ、叔父さんの携帯を？」
「…」
「一緒にいたの？」
「じゃ、ないけど…いないの？ 私もおじさんに話があるのに…」
「何事ですか？」
そこにジェニファーから声がかかった。
ソリは早口に答えた。
「おじさんは、私を前から知ってたみたいなの」
「それ、どういうこと？」
チャンが訊ねた。
デッサン用紙に描かれた絵を見せながらソリは答えた。
「この制服に髪形、それに歩道橋…これはまちがいなく13年前の私です。はっきり覚えてます」
「この絵…」
呟きながらチャンは別のことを考えた。
ソリはさらに続けた。
「おじさんはドイツにいたはずなのに、どういうことなの？」
チャンは訊ねた。
「この絵はどこで見つけたの？」
「倉庫です」
「倉庫…？」
チャンはいつぞやのことを思い浮かべた。
叔父さんを捜しまわっていた日だった。ドアが開いてるのを見かけて行って見たら、そこに叔父さんはいた。
振り返った叔父さんは目に涙を浮かべていた。
あの涙は…もしや…
ソリはもう一度訊ねてきた。
「13年前ならドイツにいたでしょ？」
「…13年前なら確かにドイツにいたよ」
「…」
「でも、夏に来たからその前なら…」
「事故の少し前です」
「事故？」
「でも、当時の知り合いにコン・ウジンはいないのに…どうして私を知ってたのかしら？ 聞いてみようと思ってたのに」
「確か…」
チャンは思い出しながら言った。
「来る前に何かあったと聞いた…」
チャンはソリを見た。
「どんな事故だったか聞いてもいい？」
「―私は覚えてないけど大きな事故でした」
「…」
「チョンアン交差点の多重衝突です」
話を聞いていたジェニファーの表情が変わった。
チョンアン交差点と聞いて、ジェニファーの心にもあの日の記憶が掘り返されていた。
― 事故に遭われたので、至急、病院へ
それが第一報だった。
あの日はヒョンテもウジンも、ジェニファーもお腹をかかえ、雨に濡れながら病院に駆け付けたのだった。
緊急オペのメスを握ったドクターはジェニファーの前に立った。
「残念ですが…」
とだけ答え、歩き去った。
ジェニファーの夫もソリの仲良しだったノ・スミと共に事故死した2人のうちの1人だったのだ。
あの日、死んだ夫とともにジェニファーも心の輝きを失ってしまったのだった。
「あれ？ どうしたんです？ 目から涙が…」
チャンの言葉にジェニファーは答えた。
「大丈夫です…私はいつも大丈夫です…」
ソリは心配そうにあらためて訊ねた。
「本当に？」
目を濡らしたままソリを見てジェニファーはコクンと頷いた。
ソリが怪訝そうにジェニファーを見つめていると、チャンは指を鳴らした。
「そうだ。叔父さんとは何の話を？」
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