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韓国ドラマ「青い海の伝説」第13話①
韓国ドラマ「青い海の伝説」第12話⑬
★★★
二人は目を合わせる。
「それは…(本当に好きになる予感が? なぜ助けに来たの? なぜ私の髪を撫でたの?)」
「…」
(シアのいうとおり、私はキープされてるの? いくら調べてもネットに載ってないの)
「…」
(私をどう思ってるの?)
「…」
「何でもないわ」
ジュンジェは目を落とした。
「ちゃんと言えよ」
「いいの。心の整理がついてないから」
「自分は整理して話すタイプだと思ってるのか?」
「とにかく整理させて。今夜じっくり考えてみる…」
「じっくり…」
ジュンジェはうろたえる。
「考えてみるだって?」
「うん」セファは殊勝に言った。「きちんと整理がついたら明日話すわ」
ジュンジェはうな垂れた。そうでなくてもセファの独り言に魘される毎日だ。一晩中魘されるのはたまらない。
セファはベッドを離れる。梯子に手をかけたところでジュンジェが呼び止める。
セファは黙って振り返る。ジュンジェは訊ねる。
「じっくり考えるって…どのくらい?」
セファは答える。
「一晩中…」
「何を考える気か知らないが」
ジュンジェは話し出す。
「あんまり考えない方がいい」
セファはジュンジェを見た。
(どういう意味かしら…考えてほしくないの? その目は何? 怒ってるの?)
ジュンジェは歩み寄り、黙ってセファの手を取った。額にキスをした。
「…」
「やっと、静かになった」
「…」
「もう何も考えるな。何も…するな」
そしてセファに唇を重ねた。長いキスをした。
(何も…何も…何も考えるな)
★★★
部屋に戻ったセファはその夜眠れなかった。心配事からではなかった。満たされた思いで身体が火照っていたからだった。
眠りのこないセファは身体を起こした。出入口をあけてジュンジェの様子をうかがった。小さな声で呼びかけた。
しかしジュンジェの反応はなかった。
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ジュンジェは夢に魘されていた。生々しい過去に引き戻されていた。
県令は人魚を風灯で呼び出していた。
それを知る領主のヤン氏は配下に指示を出した。
―同じような風灯を上げれば必ずやそいつは現れるはずだ。
ジュンジェは身もだえしながら目を開けた。
―だめだ、セファ…! 来ちゃいけない!
するとすぐそばに誰かの姿がある。ぼんやりした顔が輪郭をくっきり現してくる。
過去のセファの姿が目の前のシムチョンに置き換わる。
(…シムチョン…)
「もう夢じゃないわ」
ジュンジェは身体を起こした。セファに両腕を伸ばした。抱きしめた。
「怖い夢を…?」
「ああ…怖かった」
「なぜ?」
ジュンジェはセファの身体を離し、肩に手をやった。
「どうしてかな…?」
「…」
「失うものがない時は何も怖くなかった。でも」
「…」
「今は怖い。失ってしまいそうで…」
「誰…? セファ?」
「うん?」
「名前を呼んでるのを聞いたわ」
ジュンジェは返答に困る。お前とそっくりの女が夢に出てきたとは言えない。
「誰なの? セファもキープしてるお魚?」
「そうじゃないよ」
「じゃあ、誰? 別の女?」
さすがに笑いを誘われる。
「そうさ。女(お前)だ」
セファはプイと横を向く。
ジュンジェを見つめなおす。
「きれい?」
「それも答えなきゃいけないか?」
「だって嘘はつかない約束でしょ?」
セファはすねた口調でジュンジェを睨む。
その眼差しを受けながらジュンジェは答える。
「きれいだよ。すごくな」
「そうなんだ…?」
すねた表情でセファは訊ね返す。
「じゃあ、私は?」
「きれいに決まってるさ」
「どっちかにしてよ。二股かける気?」
「何だって? そんな言葉まで覚えたのか…」
「こっちも引っ込んでいられない。ガチで聞いてるの」
「何だ、それ?」
「真剣だってこと。知らないの? インターネット見て覚えたの。逃げないで、どっちか選んで」
顔は同じでも夢の女とぜんぜんキャラが違う(自分もだが)、と思いつつジュンジェは目の前のシムチョンをシゲシゲ見つめる。
「もちろん…(俺には)お前だ」
(ほんとかしら? おべんちゃらじゃなくて…? セファとはどんな女なの? 適当につくった嘘じゃなくて…夢に出てくるくらいだから、過去の関係をいまだに引きずっているんじゃないの? なのに私を選ぶっていうの? ああだこうだ、ブツブツブツ…)
「お前だと言ってる」
セファはにっこりする。
「この気持ち…ヤバイわ」
ジュンジェは笑い声を立てる。
「何だって?」
「ああ、それ、危ないって意味じゃないの…とても嬉しいってこと」
セファの実直さにあふれた言葉にジュンジェはほっこりした気分にさせられてくる。
「これもインターネットで覚えた。知らないなら覚えておいて。便利な言葉よ」
ジュンジェは立ち上がって戻ろうとするセファの腕を取った。
「どこへ行く?」
「自分の部屋よ」
「…行くな」
「酔ってるの?」
「…」
「酔った時の口癖でしょ?」
「違うけど今夜はここだ。行くな」
セファをベッドに引っ張り込んで毛布をかける。後ろから抱きしめる。
「もちろん行かないわ…」
目をつぶろうとして振り返る。
「ねえ」
「何?」
「あれだけど…」
「あれって?」
「さっきのあれよ」
ジュンジェは顔を起こしてキスをする。
「これか?」
「うん…これからはこれを信じていい?」
「もちろんだ」
「約束よ」
「一緒に寝よう。こうしていれば怖い夢も見ないはずだから」
(毎晩、怖い夢を見てくれたらいいのに…怖い夢ってとってもヤバイわ…)
ジュンジェに抱かれてセファも目をつぶった。
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ジュンジェの腕をおしのけ、セファは二人のベッドから抜け出た。ベランダに出て来てソウルの街並みを見やった。
(ジュンジェは私が好き! ジュンジェは私が好き!)
セファの嬉しい気持ちを拾い、ソウルの街並みはオーロラのようなまばゆく美しい夜景を現出させた。
「ジュンジェは私が好き! 心臓が破裂しそうだ! ああ、もう〜身体が火照ってきた! 身体から力が湧いて来たわよ〜!」
セファは夜空に向けて両手をかざした。