ペンチ仕事しながら考え事している時、ドックが事務所から飛び出してきた。
「兄貴、群庁舎の壁の工事を任されたぞ」
「そうか…」
「それとプレハブ住宅の施工も受注したぞ」
ドックはガッツポーズもして大喜びだ。
しかし、チョルスは淡々としている。
「そうか…」
「この前の工事費もぜんぶ回収したよ。ばっちりだ」
「よかったな・・・」
ドックはチョルスの顔を覗きこんだ。
「兄貴、どうしたんだ? 俺たちの事業の話だぞ」
「そうだな」
チョルスは突然いきりたった。
「おい、サンシルのやつちょっとひどすぎないか?」
とドックを見た。ドックはびっくりした表情を返す。
「ジャージャー麺は自分に似合わないからやめる、ってさ。態度をころっと変えやがった。そんなのあるか?」
「節約しろ、って言ってたじゃないか」
「だけど、人間は一貫性ってものがなけりゃいかんだろ。あいつは義理を知らないよ、義理を! くそったれ」
チョルスは突然ペンチ仕事を放り出し事務所に戻っていった。
ドックはあっけに取られてチョルスを見送った。
「金の話に耳も貸さずに彼女のこと考えてた?」
「チャンを買収するって?」
ビリーは懲りずにコン室長の作戦に耳を傾けていた。
「そうです。ヤツが金に目がないのは有名です。お金ももらえて奥様からも解放される。一石二鳥、ヤツにとって願ったり叶ったりの話です」
「そうだな」
ビリーはコン室長の作戦に乗り気を見せた。
「今までのように金で解決すればいいんだ。一生、暮らせる大金を差し出してやれば、さすがに彼も黙る。これだな」
コン室長は得意げに頷いた。
「奥様の財産を奥様のために使う。理にかなっています」
「だな。よし、決めた。チャンを買収してアンナを取り戻そう」
アンナはチョルスの携帯をにらみつけてつぶやく。
「あんなにしつこくかけてきたのに、ぴたりと止んだわ」
ちょっと目を背ける。
「このままおとなしく引き下がるはずはないし…今日中にあの話をチョルスにするつもりね」
ユギョンの顔を思い浮かべるだけでムカつきを覚える。チョルスに会おうとする彼女の邪魔をしたくなる。こめかみに青筋が立ちそうになった時、アンナは突然、携帯を横に投げ捨てる。
「花束女がチャン・チョルスと何をしようが、私には関係ないわ。私はやめた。やめたのよ」
胸に言い聞かせていると、ジュンソクらがやってきてそばにある電話の受話器を握った。
「僕らはジャージャー麺を食べるけど、おばさんは何食べる?」
「私? 私は…」
少し考えてアンナは答えた。
「ジャージャー麺でいいわ。好きなんだし…」
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