雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ ファンタスティック・カップル 第11話(15)



 
 ペンチ仕事しながら考え事している時、ドックが事務所から飛び出してきた。
「兄貴、群庁舎の壁の工事を任されたぞ」
「そうか…」
「それとプレハブ住宅の施工も受注したぞ」
 ドックはガッツポーズもして大喜びだ。
 しかし、チョルスは淡々としている。
「そうか…」
「この前の工事費もぜんぶ回収したよ。ばっちりだ」
「よかったな・・・」
 ドックはチョルスの顔を覗きこんだ。
「兄貴、どうしたんだ? 俺たちの事業の話だぞ」
「そうだな」
 チョルスは突然いきりたった。
「おい、サンシルのやつちょっとひどすぎないか?」
 とドックを見た。ドックはびっくりした表情を返す。
「ジャージャー麺は自分に似合わないからやめる、ってさ。態度をころっと変えやがった。そんなのあるか?」
「節約しろ、って言ってたじゃないか」
「だけど、人間は一貫性ってものがなけりゃいかんだろ。あいつは義理を知らないよ、義理を! くそったれ」
 チョルスは突然ペンチ仕事を放り出し事務所に戻っていった。
 ドックはあっけに取られてチョルスを見送った。
「金の話に耳も貸さずに彼女のこと考えてた?」
 
 
「チャンを買収するって?」
 ビリーは懲りずにコン室長の作戦に耳を傾けていた。
「そうです。ヤツが金に目がないのは有名です。お金ももらえて奥様からも解放される。一石二鳥、ヤツにとって願ったり叶ったりの話です」
「そうだな」
 ビリーはコン室長の作戦に乗り気を見せた。
「今までのように金で解決すればいいんだ。一生、暮らせる大金を差し出してやれば、さすがに彼も黙る。これだな」
 コン室長は得意げに頷いた。
「奥様の財産を奥様のために使う。理にかなっています」
「だな。よし、決めた。チャンを買収してアンナを取り戻そう」  

 
 アンナはチョルスの携帯をにらみつけてつぶやく。
「あんなにしつこくかけてきたのに、ぴたりと止んだわ」
 ちょっと目を背ける。
「このままおとなしく引き下がるはずはないし…今日中にあの話をチョルスにするつもりね」
 ユギョンの顔を思い浮かべるだけでムカつきを覚える。チョルスに会おうとする彼女の邪魔をしたくなる。こめかみに青筋が立ちそうになった時、アンナは突然、携帯を横に投げ捨てる。
「花束女がチャン・チョルスと何をしようが、私には関係ないわ。私はやめた。やめたのよ」
 胸に言い聞かせていると、ジュンソクらがやってきてそばにある電話の受話器を握った。
「僕らはジャージャー麺を食べるけど、おばさんは何食べる?」
「私? 私は…」
 少し考えてアンナは答えた。
「ジャージャー麺でいいわ。好きなんだし…」



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