韓国映画「ビューティ-・インサイド」から⑧
イスの指示のもと、見習い社員たちは仕事を覚えていく。バランスの悪いテーブルの脚の下に支えを入れ、4脚を安定させている見習い社員を見つけ、イスは彼女のもとへ歩み寄った。声をかけた。
「気が利くわね」
女子は振り返る。
「どこで教わったの?」
イスを見つめ返し、戸惑いを見せながら女子は自分を名乗る。
「ハン・チェギョンと申します」
「よろしく。一緒に頑張りましょ」
「はい」答えた後、相手はぶつぶつと何か言いたそうにして「いえ、こちらこぞよろしくお願いします」イスを見つめ返す。そのまま仕事に戻る。
休憩時間が来て、離れた場所でひとり休息を取ってるチェギョンのもとにイスがやって来る。
「初日で疲れたでしょ?」
「いいえ、疲れてません」
チェギョンは緊張して答える。
女の時でも彼女に対してはつい構えてしまうようだ。
イスは笑みを返す。
そうさせてしまう何かが自分に…?
「チェギョンさんだっけ?」
「…はい。あの~」
「…?」
「お仕事を終わった夕方ですけど、もしお時間があれば…」
話の途中、ひとりがイスを呼びにやってきた。
イスはチェギョンの話を制した。
「後でね、チェギョンさん」
イスは行ってしまう。
店の終業時間がやってきた。
上司が全員を集めて終業を告げた後、イスもみんなの仕事をねぎらう。
みんなが散った後、イスのそばにチェギョンが残った。イスは後ろに立っているチェギョンに気づいた。
チェギョンは訊ねてくる。
「この後、約束かなんかおありですか?」
イスは彼女を見つめ返す。
「お腹、空いてませんか? 一緒に夕食でも」
「…チェギョンさん、私に何か話があるみたいね」
「…キム・ウジンを」
「…?」
「覚えて…いますか?」
デートをすっぽかされた彼の名が出て、イスはチェギョンに誘われるまま彼女の住んでいる部屋までついていった。
玄関でチェギョンはイスに言った。
「お客さんを部屋に入れるのは今日が初めてです」
「…」
イスは促されて先に部屋に入った。
明かりが入ると様々なデザインの椅子が目に飛び込んでくる。
一介の見習い社員にしては住空間の景色は異様だった。
チェギョンは訊ねかけてくる。
「思い出しませんか?」
イスはチェギョンを見つめ返す。
この子は何のために自分をここに…?
「これは何?」
イスは質問を返した。
「チェギョンさんの家になぜこれが?」
「イスさん…私の話を聞いてください」
「…チェギョンさんはいったい何者なの?」
「変に思わないでください」
「ストーカーとか?」
気味の悪い表情になるイス。
チェギョンは弁解する。
「いいえ、僕です、イスさん」
弁明を無視して出ていこうとするイスにチェギョンは叫んだ。
「僕がキム・ウジンです!」
イスは立ち止まる。振り返る。狐につままれた表情になる。
「僕は…チェギョンじゃなくて、キム・ウジンなんです」
「…?」
「誰だって、変におもいますよね」
チェギョンはパソコン機器の前に歩いた。
「見てください」
モニタの電源を入れた。
モニタに男の顔が浮かび、声が流れ出す。
― ホン・イス。何度も行ったところなのに、今日、初めて会った。声や話し方、まなざし、それらが今も目に浮かぶ。木だったのが船になったり椅子になったり…
イスはモニタのそばに歩み寄った。モニタにまじまじ見入る。
「気が利くわね」
女子は振り返る。
「どこで教わったの?」
イスを見つめ返し、戸惑いを見せながら女子は自分を名乗る。
「ハン・チェギョンと申します」
「よろしく。一緒に頑張りましょ」
「はい」答えた後、相手はぶつぶつと何か言いたそうにして「いえ、こちらこぞよろしくお願いします」イスを見つめ返す。そのまま仕事に戻る。
休憩時間が来て、離れた場所でひとり休息を取ってるチェギョンのもとにイスがやって来る。
「初日で疲れたでしょ?」
「いいえ、疲れてません」
チェギョンは緊張して答える。
女の時でも彼女に対してはつい構えてしまうようだ。
イスは笑みを返す。
そうさせてしまう何かが自分に…?
「チェギョンさんだっけ?」
「…はい。あの~」
「…?」
「お仕事を終わった夕方ですけど、もしお時間があれば…」
話の途中、ひとりがイスを呼びにやってきた。
イスはチェギョンの話を制した。
「後でね、チェギョンさん」
イスは行ってしまう。
店の終業時間がやってきた。
上司が全員を集めて終業を告げた後、イスもみんなの仕事をねぎらう。
みんなが散った後、イスのそばにチェギョンが残った。イスは後ろに立っているチェギョンに気づいた。
チェギョンは訊ねてくる。
「この後、約束かなんかおありですか?」
イスは彼女を見つめ返す。
「お腹、空いてませんか? 一緒に夕食でも」
「…チェギョンさん、私に何か話があるみたいね」
「…キム・ウジンを」
「…?」
「覚えて…いますか?」
デートをすっぽかされた彼の名が出て、イスはチェギョンに誘われるまま彼女の住んでいる部屋までついていった。
玄関でチェギョンはイスに言った。
「お客さんを部屋に入れるのは今日が初めてです」
「…」
イスは促されて先に部屋に入った。
明かりが入ると様々なデザインの椅子が目に飛び込んでくる。
一介の見習い社員にしては住空間の景色は異様だった。
チェギョンは訊ねかけてくる。
「思い出しませんか?」
イスはチェギョンを見つめ返す。
この子は何のために自分をここに…?
「これは何?」
イスは質問を返した。
「チェギョンさんの家になぜこれが?」
「イスさん…私の話を聞いてください」
「…チェギョンさんはいったい何者なの?」
「変に思わないでください」
「ストーカーとか?」
気味の悪い表情になるイス。
チェギョンは弁解する。
「いいえ、僕です、イスさん」
弁明を無視して出ていこうとするイスにチェギョンは叫んだ。
「僕がキム・ウジンです!」
イスは立ち止まる。振り返る。狐につままれた表情になる。
「僕は…チェギョンじゃなくて、キム・ウジンなんです」
「…?」
「誰だって、変におもいますよね」
チェギョンはパソコン機器の前に歩いた。
「見てください」
モニタの電源を入れた。
モニタに男の顔が浮かび、声が流れ出す。
― ホン・イス。何度も行ったところなのに、今日、初めて会った。声や話し方、まなざし、それらが今も目に浮かぶ。木だったのが船になったり椅子になったり…
イスはモニタのそばに歩み寄った。モニタにまじまじ見入る。