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韓国ドラマ「病院船」から(連載196)
「病院船」第18話➡医療空白⑨
★★★
ウンジェは冷静に説明した。
「急性肝不全は原因不明のものが3割以上です」
事務長は嘆く。
「本当にお気の毒です」
「じゃあ、まずは何をすればいいんだ。どうすれば―命を救える?」
「移植です」
ミョン・セジュンが答えた。
「移植ですか?」
「はい。今は肝移植が最善の策です」
「それを先に言ってくれないと…先生」
事務長はウンジェを見た。
「移植さえすれば助かると?」
頷いてから「えっ?」とウンジェは我に返る。
事務長はウンジェを見て言う。
「なら私の肝臓を移植すれば」
「血液型は同じですか?」
「いや、私はB型で彼女はA型だ」
ウンジェは横を向く。
「では移植は無理です」
「なぜだ? 最近は血液型が違っても移植できると先生が…」
「それは容体が安定している場合です」
ウンジェは答えた。
「…!」
「重篤な場合は同じ血液型である必要があります。だから早く探さないと」
ウンジェはミョン・セジュンを見た。
「とりあえず臓器移植センターに電話を」
ミョン・セジュンは頷いた。
ウンジェは事務長に説明した。
「ドナーが現れれば最優先で移植を受けられるので…」
その時、当該患者に発作が起きた。
ウンジェは慌てて病床に走りこむ。ミョン・セジュンも続く。
「吸引だ!」
吸引しながらミョン・セジュンは指示を出す。
「抗けいれん剤を」
「肝性脳症の発作よ」とウンジェ。
吸引によって症状はひとまず落ち着く。
ほっとして事務長は出ていった。
事務長がいないのに気づいてウンジェも外に出た。ミョン・セジュンが追いかけて出て来る。
「ソン先生」
振り返ると彼は言った。
「ちょっと話がある」
★★★
ウンジェはミョン・セジュンに従った。
少し歩いてミョン・セジュンはウンジェと向き合った。
「あの患者、他の病院に転院させてはどうだ?」
ウンジェは驚く。
「重篤なのになぜ転院させるの?」
「だからこそ転院させるんだ」
「どうして?」
「執刀医がいない」
「…」
「俺は慣れない環境だし、肝移植手術などとてもできない」
「…」
「それ以前に俺は…」
「何?」
「助手として肝移植をしたことはあるが、執刀医としては一度も経験してないんだ」
ウンジェは顔を顰めた。セジュンを見て失意と困惑を覗かせた。
今から他の病院に移すのでは途中で息を引き取る可能性も高い。
セジュンと話をすませた後、ウンジェは事務長を捜しまわった。
「どこへ行ったんだろう?」
そこにゴウンが駆け込んできた。
「道庁から?」
「ええ。成果はなかったけど」
ウンジェは暗い表情で頷く。
「事務長の様子は?」
「それが…」
ウンジェは苦悩を覗かせる。
「どうしたの? 何か問題でも起きた…?」
「事務長は血液型が合わず、肝臓を提供できません。なのに…病状は悪化する一方で…」
「事務長は今どこに?」
「捜したけど見当たらなくて」
嘆息する。
「知らないと?」
「ええ」
「分かったわ。私が捜してみます」
ゴウンは背を返して病院を出ていった。
ヒョンたちは島の診療所に到着した。
ヒョンは島の保健医に声をかけ、手を握った。
「ご苦労をかけます」
「まったくです。収拾がつかず、大変でした」
「疲れたでしょう。もう休んでください。私たちに任せて」
「いいのよ。患者に来所するよう連絡します」
「大丈夫です」とジェゴル。「慣れない夜道で転倒しないよう、僕たちが連れてきます」
「キム先生は本当に優しいのね」
保健医は嬉しそうにする。
ジェゴルはヒョンを見た。
「患者たちを診てくれ。俺は診療が必要な患者をここに連れて来る」
「分かった」
ジェゴルとジュニョンらはいそいそ患者宅に向けて出かけ、ヒョンらも保健支所で診療を開始した。
「お加減はどうですか?」
「まずまずです」
患者は膝にノートパソコンを置いている。
ヒョンは保健医を振り返る。
「これで遠隔診療を?」
「そうですが、応答するかどうか…」
「試してみましょう」
ヒョンはノートパソコンを開いた。インターネットに接続する。
ジュニョンらは訪問先でノートパソコンを開いていた。扱いは思ったより難しいようだった。
ジェゴルは別の部屋で患者に質問を行っている。
「使い方を忘れたのですか?」
「この前は言われた通り押しただけよ」
ミヒャンはジェゴルを見て笑う。
「あんたが毎日来てくれない?」
「鍼は毎日打ってあげられますが、血圧の薬は内科医の処方が必要です」
「そうなの? まったく面倒だね」
「何してる? 早くつないでくれ」
ジェゴルは隣の部屋に目をやった。
「誰も応答しないんだよ」
ジュニョンは答えた。
ジェゴルは苦笑いする。
この時、携帯が鳴った。ヒョンだった。
「どうした?」
「診療申請しても応答がない。第一病院の内科科長の連絡先を教えてくれ」
「分かった聞いてみる」
通話を終えるとジュニョンが訊ねてくる。
「つながらないんだろ?」
「ああ。電話してくるよ」
ジェゴルは外に出た。携帯で父親の連絡先を引っ張り出す。
ふと父親と口論したのを思い出した。
―遠隔診療の危険性を分かってる?
心配していたことが現実となって来そうだった…。