雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「病院船」から(連載197)

 <script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?cb=googleTranslateElementInit"></script>  google-site-verification: google3493cdb2db9ede





  韓国ドラマ「病院船」から(連載197)




「病院船」第18話➡医療空白⑩




★★★


 ジュニョンらは訪問先でノートパソコンを開いていた。扱いは思ったより難しいようだった。
 ジェゴルは別の部屋で患者に質問を行っている。
「使い方を忘れたのですか?」
「この前は言われた通り押しただけよ」
 ミヒャンはジェゴルを見て笑う。
「あんたが毎日来てくれない?」
「鍼は毎日打ってあげられますが、血圧の薬は内科医の処方が必要です」
「そうなの? まったく面倒だね」
「何してる? 早くつないでくれ」
 ジェゴルは隣の部屋に目をやった。
「誰も応答しないんだよ」
 ジュニョンは答えた。
 ジェゴルは苦笑いする。
 この時、携帯が鳴った。
「どうした?」
「診療申請しても応答がない。第一病院の内科科長の連絡先を教えてくれ」
「分かった聞いてみる」
 通話を終えるとジュニョンが訊ねてくる。
「つながらないんだろ?」
「ああ。電話してくるよ」




 ジェゴルは外に出た。携帯で父親の連絡先を引っ張り出す。
 ふと父親と口論したのを思い出した。


―遠隔診療の危険性を分かってる?


 心配していたことが現実となって来そうだった…。


★★★


  父親とのやりとりは平行線に終わった。きっと父は自分の話を聞こうとしないだろう。
 ジェゴルは父親に連絡するのをやめ、カン・ドンジュンに電話を入れた。




 ドンジュンは受付のところで電話を受けた。
「ああ、ジェゴルか…内科科長の電話番号を? なぜだ?」
 ジェゴルは答えた。
「島民が遠隔診療を受けられていません。…診療時間外なので先生方が応答してくれないんです」 
「(明日の日中やればいいだろ)」
「俺は仕事があります。公保医を何だと思って……無断で勤務地を離れたらそれこそ大変です」
「でも、退勤した先生を今から呼び出すのはちょっと…」 
「(自宅で対応させては?)」
「病院のPCでしか対応できないよ…まいったな…いや、分かった。俺から電話してみる」
「はい、お願いします」
「ところで、ジェゴル。今日、この病院で何があったか知ってるか?」
「いいえ。何かあったんですか?」
 ドンジュンはボソボソした声が話した。
「えっ?」
 やっぱりドンジュンの声は小さい。耳をそばだてるように神経を集中して話を聞く。
「本当ですか…?」




 ヒョンの携帯が鳴った。ジェゴルだった。
「応答してくれるとさ」
「そうか。よかった」
 ヒョンは椅子に乗ったノートパソコンを引き寄せた。ネットをつないだ。
「こんにちは」
「はい。何か?」
「患者の遠隔受診を僕が手伝っています。かまいませんか?」
「どなた?」
「病院船の内科医です」
「医者? 指導員ではなく?」
「指導員だとお思いになって結構です」
「そうですか。では診ましょう」
 ヒョンはノートパソコンの画面を患者に向けた。
「おばあさん、ここを見て」
 患者は頷く。自覚症状について話し始める。
「頭が痛くて、汗も出て―身体の節々が痛むんです」
「体温は?」
「37.5度です。血圧と脈拍、呼吸は正常ですが、咳と痰がひどく―右肺の下部から水疱音が聞こえます」
「なら、肺炎の可能性がある。血液検査とレントゲン検査はできませんよね?」
「病院船に設備がありますが、今は乗船できず…」
「まいったな…では、うちの病院に搬送してください」
「ですが、先生。もう船便はありません。海洋警察を呼ぶべきですか?」
「困ったもんだな」
「…!」
「でしたら、何か方法を探して連絡します」
 そこで通信回線は切れた。
 支所はシラーッとした空気に包まれる。
「連絡を待ちましょう」
 ヒョンは患者をなだめた。




 島の保健支所との回線を切った医師は廊下に出てきた。カン・ドンジュンが廊下で顔を合わせた。
「遠隔診療はどうでした?」
「やっと一人だけ見た。まだ大勢いる」
「えっ?」
「ところで、なぜ病院船の運航をやめた。レントゲン撮影のために海洋警察やヘリを呼ぶのか?」
「はあ?」
「遠隔診療など馬鹿げてる。この調子でやっていけるのか? PCの前に患者を座らせて、2人がかりで診療することに何の意味がある」
「それが…」
「1人が診ればすむことだ。だろ? 効率が悪すぎる」
「…」
「やってられないよ」
「ええ」
「腹が立つ」
 担当医師はムカムカした顔で立ち去った。彼を見送りながらドンジュンはぼやいた。
「俺に怒ってどうするんだ。俺が病院船を止めたとでも? まいっちゃうなあ」
 ドンジュンは頭をかきむしった。


 
 保健支所にやってきた患者は、ヒョンの丁寧な診察を受けて終えてひとりひとり帰っていった。
 患者宅に出向いたジェゴルやジュニョンたちも引き上げてきた。
 後は熱のあるおばあさんだけになった。
「おばあさんの熱は?」
「少し上がった」
「やむを得ない。漁船で向かおうか」
「大丈夫かな―身体が冷えると悪化する」
「船室を暖めればいい。巨済に急ごう」
「…浮かない顔だな。どうした?」とヒョン。
「事務長の身内に何かあったようだ」
 ヒョンの顔色は変わった。  

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「韓国ドラマ「病院船」」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事